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テーマに関する論文

日本を一人にしてはいけない
―― 中国のアジア太平洋覇権を阻むには

2026年3月号

ダン・ブルメンタール アメリカン・エンタープライズ研究所 シニアフェロー
マイク・クイケン スタンフォード大学フーバー研究所 特別客員研究員
ランドール・シュライバー 元米国防次官補

日米は重要な岐路に立たされている。東京が、中国との長期にわたる対立に備えて大胆な措置をとり続けるなか、ワシントンのコミットメントは揺らいでいる。東京は難しい部分をこなしてみせた。今度はワシントンが立場を強化しなければならない。中国は、アジア太平洋の覇権を握るという野望を実現する上で、日米同盟が最大の障害であることを理解している。経済的にレジリエントで、外交的に活発で、軍事能力の高い日本なら、台湾を孤立させ、近隣諸国を威圧し、アメリカがこの地域に関与するコストを引き上げる北京の計画を損なうことができる。アメリカは、日本と同盟国にとって台湾有事は存立にかかわるという高市の発言を支持して、同盟国と共にあることを示す必要がある。

人口減少と社会
―― 子育て支援策と人権問題の間

2026年3月号

ジェニファー・D・シュバー 人口統計研究所 理事長

人口の高齢化と減少に伴い、成長率と生産性が大幅に低下するという経済予測があるだけでなく、右派は労働力不足を補うために移民を受け入れれば、国家アイデンティティが損なわれると懸念している。それだけではない。住宅の価格抑制、男女平等の促進、家族支援の強化などの子育て支援策が重視される一方で、人権を無視して、女性を就労から家庭へと押し戻そうとする政府も出てくるかもしれない。出産を個人的選択とみなすのではなく、「善い」市民が国家にとって有益な方法で出産責任を果たすという捉え方には、大きな問題がある。

トランプ戦略の末路
―― 主要国の反発と拒絶

2026年3月号

スティーブン・M・ウォルト ハーバード大学ケネディ・スクール 教授(国際関係)

ドナルド・トランプの中核目的は、ワシントンの特権的立場を利用して、同盟国と敵対国の双方から譲歩、貢ぎ物、恭順を引き出し、彼が純粋なゼロサムとみなす世界で短期的利益を模索することにある。この略奪的覇権主義は一時的には機能しても、長期的には失敗に終わる。対米依存を減らす努力をする国もあれば、アメリカのライバルと新たな取り決めを結ぶ国もあるだろう。そして相当数の国が、アメリカの利己的な行動へ報復する機会を待ち望むようになるだろう。結局、世界的な反発が高まり、ワシントンの主要なライバルにとって魅力的な機会がもたらされる一方、アメリカの安全、繁栄、影響力は低下していくだろう。

ヨーロッパを取り戻す
―― 対米依存の呪縛を解くには

2026年3月号

マティアス・マティス ジョンズ・ホプキンス大学 高等国際学院准教授
ナタリー・トッチ ジョンズ・ホプキンス大学 高等国際学院ボローニャ校教授

欧州連合(EU)は、アメリカに屈服するのをやめて、より大きな主権を構築しなければならない。ヨーロッパの運命はヨーロッパが握っているという感覚を取り戻す必要がある。戦略的自律性を強化することは、必ずしも、ワシントンとの対立や米欧同盟の放棄を意味しない。重要なのは、必要なときは「ノー」と言い、利害が一致しないときは独自に行動し、ヨーロッパ内で一貫性のあるプロジェクトを維持する能力をもつことだ。防衛体制の強化、貿易の多角化、ヨーロッパ独自の対中政策、そしてエネルギー転換と自律の強化という、構想を進めていく必要がある。

アメリカは信頼できるのか
―― 思い悩むアジアのパートナー

2026年3月号

ジョシュア・クランジック 米外交問題評議会(CFR) シニアフェロー(東南アジア・南アジア担当)

西半球と米本土防衛を重視するトランプ政権は、「アメリカの利益に対する脅威としての中国」という認識を下方修正している。一方、これまでとは違って、 新しい米国防戦略では台湾は言及されていない。国家安全保障戦略でも、アメリカは「台湾海峡における現状の一方的変更」に反対するのではなく、単に「支持しない」とされている。日本のような、アジアにおけるもっとも緊密なパートナーとの防衛関係をめぐっても、アメリカの信頼性は疑問視されている。 いまや全てのアジア諸国がアメリカとのパートナーシップが信頼できるかどうかを再検証している。

中東の安定とシーア派の未来
―― シーア派の国家への統合を

2026年2月号

マリア・ファンタッピー イタリア国際問題研究所 アソシエートフェロー
バリ・ナスル ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際関係大学院 教授(国際問題・中東研究)

軍事的には、抵抗の枢軸はいまや粉砕されている。この枢軸を設計したイランの戦略家たちは高齢化し、アラブ世界のパートナーの多くは、イスラエルの攻撃で殺害されている。だが、抵抗の枢軸を支えてきたイラク、レバノン、シリアに残されたシーア派コミュニティに、それぞれの国で政治的未来、つまり、国境を越えたイデオロギーに代わる国内での役割と経済的機会を提供しない限り、中東の安定は再び脅かされる。生き残るためにシーア派が国境を越えた宗派的な共同体政治を模索すれば、広範な地域が不安定化する。シーア派が新しい中東秩序に利害をみいだせなければ、イラン封じ込めも難しくなる。

ミャンマーは中国の勢力圏に
―― 不安定な均衡はいかに形成されたか

2026年3月号

アマラ・ティハ スティムソン・センター 中国プログラム 非常勤フェロー

ミャンマーにおける核心的な問題は、中央の軍事政権あるいは亡命政権のどちらが国家統一を回復できるかではなく、北京が永続的な国家分断の上に築いたシステムを維持できるかどうかにある。北京は軍事政権だけでなく、各地の有力な武装勢力とも直接的な関係を築いている。あらゆる勢力と友好関係を築くこの戦略の目的は、中国にとって重要な物質的利益、つまり、ミャンマーの重要鉱物資源へのアクセス、そしてインド洋への陸上輸送ルートを確保することにある。

米日韓の集団的協調を
―― 中国の経済的威圧を抑止するには

2026年3月号

ビクター・チャ 戦略国際問題研究所(CSIS) 会長(地政学・外交政策部門担当)

アメリカと原子力潜水艦協定を結んだ韓国は、現在の日本と同様に、今後、北京の経済的威圧策の対象にされる恐れがある。近隣諸国を経済的に威圧し、圧力行使策に訴えても、北京は、これまでのところ何の代償も支払っていない。単独では、この地域のいかなる国も中国に対抗できる政治的・経済的重みをもっていないからだ。だが、集団としてなら十分な手立てがある。状況を変えるには、中国の経済威圧策を阻止するための集団的抑止協定が必要になる。米日韓は、北大西洋条約機構第5条のように、一国に対する威圧を全加盟国に対する威圧とみなして報復する対中経済抑止協定を形作るべきだろう。

台湾に迫り来る嵐
―― 北京を行動に駆り立てる複合要因

2026年3月号

ユン・サン スティムソン・センター 中国プログラム・ディレクター

台湾を巡る習近平の決断を左右する最大の要因は、アメリカが介入してくるかどうかだ。そして北京は、「ドナルド・トランプほど台湾に無関心で、台湾海峡に軍事介入してくる可能性が低い米大統領は今後現れない」と確信している。だが、2026年11月の中間選挙で民主党が米議会を制し、トランプ支持派の勢いが衰えれば、この見通しも変化してくるかもしれない。トランプ政権の今後、中国の後継プロセスの作用、ロシアのウクライナ戦争、台湾政治の流れからみても、北京は、現状を台湾攻略のチャンスだと考えている可能性がある。

米大統領がもたらした無秩序
―― 制約なき権力行使とアメリカパワーの終焉

2026年3月号

ダニエル・W・ドレズナー タフツ大学 フレッチャースクール学院長
エリザベス・N・サンダース コロンビア大学 政治学教授

いまや米大統領は国の内外で、制約などほとんど気にかけることなく、思うままに行動している。米市民も、トランプが世界に解き放ったのと同じ「ホッブズ的な無秩序」のなかに置かれている。行動へのあらゆる制約を拒み、技術によって旋風のように動けるようになったことで、より大胆になった指導者が作り出すホッブズ的秩序では、「何でもあり」だ。アメリカパワーの基盤は、国内での法の支配と国外における信頼できるコミットメントで形作られているが、トランプは、まさにこれを解体しようとしている。アメリカから距離を置くようになった同盟国は、不安定なアメリカに対する保険策として、すでに中国や他の同盟諸国への接近を試み始めている。

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