2026.8.25 Tue
<9月号プレビュー>
台湾防衛、抵抗の枢軸の強さ、民主主義と市長
「ただちに対抗策に訴えるインセンティブが大きくない」グレーゾーン戦略を放置すれば、北京は大きな代償を支払うことなく、自国に有利な状況へ現状を段階的に変化させていくことになりかねない。この場合、中国は、台湾をめぐって、戦わずして勝利を収める可能性が出てくる。(リン)
イスラエルによるハマス攻撃やヒズボラに対する破壊作戦、シリアのアサド政権の崩壊、さらにはアメリカとイスラエルによる2月以降のイランに対する大規模な空爆を経ても、イランを中核とする抵抗の枢軸(ヒズボラ、フーシ派、イラクのシーア派武装勢力)は追い込まれながら、結局は、再生し、復活している。(ソールズベリー、パエス、トンプソン)
いまや世界の都市と市長が、独裁者から民主主義を守る重要な防波堤の役割を果たしている。権威主義的な国の指導者は、多元主義や市民参加そして民主主義の牙城である都市と市長たちを目の敵にし、予算削減や政治的弾圧の標的にしている。一方、世界各地の市長たちは国境を越えた連携を模索し、民主主義の後退に抵抗している。(ハチジャン)
米国に台湾を守る気はあるのか
―― グレーゾーン戦略の脅威
2026年9月号 ボニー・リン 戦略国際問題研究所(CSIS)ディレクター
全面侵攻シナリオだけでなく、中国による軍事演習、海上封鎖、経済制裁、情報作戦などのグレーゾーン戦略が台湾に深刻な脅威を作り出している。こうした「ただちに対抗策に訴えるインセンティブが大きくない」グレーゾーン戦略を放置すれば、北京は大きな代償を支払うことなく、自国に有利な状況へ現状を段階的に変化させていくことになりかねない。この場合、中国は、台湾をめぐって、戦わずして勝利を収める可能性が出てくる。だが、ワシントンがエスカレーションのリスクを引き受ける政治的意思をもっているかどうか、はっきりしない。いまや、台湾を守るために、ワシントンが事態をエスカレートさせ、そのコストを負担する用意があるのかが現実に問われている。
イラン軍事ネットワークの強さ
―― 「抵抗の枢軸」はいかに復活したか
2026年9月号 ピーター・ソールズベリー コロンビア大学 国際公共政策大学院 客員准教授<br>ヴォルフ=クリスティアン・パエス 国際戦略研究所 アソシエートフェロー ヘンリー・トンプソン 元国連イエメン専門家パネルメンバー
イスラエルによるハマス攻撃やヒズボラに対する破壊作戦、シリアのアサド政権の崩壊、さらにはアメリカとイスラエルによる2月以降のイランに対する大規模な空爆を経ても、イランを中核とする抵抗の枢軸(ヒズボラ、フーシ派、イラクのシーア派武装勢力)は追い込まれながら、結局は、再生し、復活している。指導者が殺害され、製造拠点や倉庫が爆撃され、補給路が遮断されても、これらの勢力は結局、再生する。分散化された指導体制、供給網・訓練網・技術共有によって再編と適応を続けているからだ。イランおよび「抵抗の枢軸」を構成する勢力を完全に打倒するのはおそらく不可能だが、彼らが突きつける脅威を抑えることは依然として可能だろう。
民主主義は市長たちが守る
―― 独裁者の最大の敵
2026年9月号 ニーナ・ハチジャン 前米国特別代表(都市・州外交担当)
いまや世界の都市と市長が、独裁者から民主主義を守る重要な防波堤の役割を果たしている。権威主義的な国の指導者は、多元主義や市民参加そして民主主義の牙城である都市と市長たちを目の敵にし、予算削減や政治的弾圧の標的にしている。一方、世界各地の市長たちは国境を越えた連携を模索し、民主主義の後退に抵抗している。中央ヨーロッパの市長たちが組織した「自由都市協定」には、すでにアジアやアメリカの都市の市長たちも参加している。世界の市長たちは、その行政地域における個人の権利や民主主義の規範・制度を守ることで、権威主義者たちが国家支配を固めるのを阻止している。


