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2026.7.24 Fri
<8月号プレビュー>
中東とアメリカ
―― イラン戦争のグローバルな帰結
アメリカにとって、現在の中東における最大の問題は、軍事的成果を戦略的勝利に結びつけられずにいることだ。今回の戦争は、アメリカパワーの決定的な矛盾を象徴するものとして歴史に刻まれることになるのかもしれない。(ストラウル)
戦争を経て誕生した新しいイランは、神権体制ではなく、ナショナリズムによって規定される権威主義国家へ変貌している。この国は、戦争に勝利したと確信している新たな支配階級である将校集団の自信とテクノクラートの精神によって特徴づけられている。(バジョグリ、ナスル)
中東における対米不信が高まるなか、戦後の中東でより大きな役割を果たせる立場にあるのが中国だ。特に、貿易、エネルギー、デジタルインフラの分野で、中国と地域諸国との協力が進むだろう。(ブレマー、マクサド)
中東におけるアメリカの未来
―― 軍事的成果と戦略的敗北?
2026年8月号 デーナ・ストラウル ワシントン近東政策研究所 研究ディレクター
イラン戦争で圧倒的なパワーみせつけつつも、アメリカは戦略目標を達成できず、中東におけるアメリカへの信頼も失墜している。実際、イラン戦争でアメリカは兵器備蓄を危険なまでに浪費し、もはや、同じレベルの戦争を現状で戦う力は残されていない。米市民は、これ以上の中東関与を望んでいないし、湾岸諸国もアメリカ以外にも防衛パートナーを求め始めている。アメリカにとって、現在の中東における最大の問題は、軍事的成果を戦略的勝利に結びつけられずにいることだ。今回の戦争は、アメリカパワーの決定的な矛盾を象徴するものとして歴史に刻まれることになるのかもしれない。
変貌したイラン国家の未来
―― 神権国家からナショナリスト国家へ
2026年7月号 ナルゲス・バジョグリ ジョンズ・ホプキンス大学 高等国際関係大学院 准教授(中東研究) バリ・ナスル ジョンズ・ホプキンス大学 高等国際関係大学院 教授(中東研究)
戦争を経て誕生した新しいイランは、神権体制ではなく、ナショナリズムによって規定される権威主義国家へ変貌している。この国は、戦争に勝利したと確信している新たな支配階級である将校集団の自信とテクノクラートの精神によって特徴づけられている。戦争を終結させ、イランの戦果を固め、経済制裁の解除よりも、ホルムズ海峡を通過する海上交通への課金による経済的利益確保への道を開く合意を求めている。戦争はイランを弱体化させるどころか、むしろ力を与えたという確信に根ざす自信が、新しいイランの国際的な展望を形作っている。
イラン戦争のグローバルな帰結
―― 対米不信と中国の影響力拡大
2026年8月号 イアン・ブレマー ユーラシア・グループ 創設者 フィラス・マクサド ユーラシア・グループ マネージング・ディレクター(中東・北アフリカ担当)
イラン戦争を経て、中東諸国は、イランとイスラエルの脅威を軸に対立する二つの陣営に分かれつつある。一方には、イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)を中核とし、アメリカと連携する「アブラハム連合」があり、その対極にはサウジ、トルコ、パキスタンなどのスンニ派の主要国を中核とするイスラム連合が存在する。後者はイランだけでなく、イスラエルも脅威とみなしている。中東における対米不信が高まるなか、戦後の中東でより大きな役割を果たせる立場にあるのが中国だ。特に、貿易、エネルギー、デジタルインフラの分野で、中国と地域諸国との協力が進むだろう。「アメリカはもはや信頼できず、ワシントンへの長期的な依存を減らすことを戦略的必要性」とみなしているのは中東諸国だけではない。ヨーロッパ、アジアでも、この認識が広がりつつある。


