tunasalmon / Shutterstock.com
2026.7.14 Tue
東アジアの安全保障
―― 危機にいかに備えるか
平壌が韓国を侵略すれば、その紛争は、北朝鮮と「アメリカが支援する韓国」との戦いにとどまらず、ロシアや中国も巻き込んでいく。ワシントンは、朝鮮半島の平和維持という任務が抜本的に変化していることを見落としている。いまや平壌を抑止するには、北京とモスクワも抑止しなければならない。(マストロ)
弱小国であってもチョークポイントを兵器化できること、そして大国が広範なコストを(世界に)課すことも辞さないことを明らかにしたホルムズ危機が、アジアで再現されればどうなるだろうか。アメリカがマラッカ海峡の通過を制限し、中国が台湾海峡を封鎖すれば、世界経済に大きな衝撃が走るだろう。(クオック)
中国の台湾侵攻を阻む抑止力を最大化するには、米台の防衛力を強化し、北京を安心させ、経済デカップリングなどの経済圧力策の行使を控えて軍事・外交・経済の適切なバランスをとる必要がある。問題は、これら三つをどのようなバランスで組み合わせるのが最適なのかに関するコンセンサスがほとんどないことだ。(マストロ、ヨーダー)
朝鮮半島有事に備えよ
―― 北朝鮮の強大化と国際化した対立構図
2026年7月号 オリアナ・スカイラー・マストロ スタンフォード大学 フリーマン・スポグリ国際研究所 センターフェロー
平壌が韓国を侵略すれば、その紛争は、北朝鮮と「アメリカが支援する韓国」との戦いにとどまらず、ロシアや中国も巻き込んでいく。ワシントンは、朝鮮半島の平和維持という任務が抜本的に変化していることを見落としている。いまや平壌を抑止するには、北京とモスクワも抑止しなければならない。この危険な局面でワシントンが後退すれば、戦争のリスクはさらに高まり、アメリカは北朝鮮、中国、ロシアという相手のすべてが核保有国との紛争に巻き込まれかねない。一方で、ソウルが戦争のリスクを懸念しながらも、ワシントンの防衛コミットメントを疑い、懐疑的だとすれば、ワシントンの軌道から離れるような抜本的な措置をとらざるを得ないと判断するかもしれない。
マラッカとホルムズ
―― アジアの水路を守るには
2026年7月号 リン・クオック ブルッキングス研究所 フェロー(アジア政策)
弱小国であってもチョークポイントを兵器化できること、そして大国が広範なコストを(世界に)課すことも辞さないことを明らかにしたホルムズ危機が、アジアで再現されればどうなるだろうか。アメリカがマラッカ海峡の通過を制限し、中国が台湾海峡を封鎖すれば、世界経済に大きな衝撃が走るだろう。アジアの水路は世界的な貿易、エネルギー、半導体のサプライチェーンの要に位置しており、その混乱は世界経済を揺るがすものになりかねない。すでに米中は、インドネシア諸島の二次的な海上回廊をめぐって主導権を握ろうと競い合っているようだ。
台湾侵攻を阻む抑止力の強化を
―― 軍事・外交・経済の適切なバランスを
2025年7月号 オリアナ・スカイラー・マストロ スタンフォード大学国際問題研究所 センターフェロー ブランドン・ヨーダー オーストラリア国立大学 上級講師
中国の台湾侵攻を阻む抑止力を最大化するには、米台の防衛力を強化し、北京を安心させ、経済デカップリングなどの経済圧力策の行使を控えて軍事・外交・経済の適切なバランスをとる必要がある。問題は、これら三つをどのようなバランスで組み合わせるのが最適なのかに関するコンセンサスがほとんどないことだ。こうして、軍事力の強化は道半ばとなり、台湾に関する「戦略的曖昧さ」路線の揺らぎが北京の不安を高めている。その行使を控えることで、危機の際に抑止力を強化できるはずの経済圧力が、すでに高度に利用されている。軍事的即応態勢と軍事能力の強化に投資し、慎重な発言を心がけ、経済的なレジリエンスと一定の相互依存関係の維持に努めることが、台湾の安全強化につながる。


