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2026.5.1 Fri
ハンガリーの変化は何を意味するのか
―― 民主主義、競争的権威主義そして独裁
「政府に友好的なオリガルヒを通じて経済的影響力を行使し、党に忠実な支持者を責任者に任命して社会・文化・メディア組織を支配する」ビクトル・オルバンの権力システムは、国内で「競争的権威主義」体制を築こうとする世界の独裁者たちのモデルとされてきた。・・・(レーデイ)
非自由主義の権威主義国家が台頭を続ける一方で、民主主義国家は衰退している。2025年には45カ国が民主主義から離れて、独裁体制に移行し始めた。いまや完全な民主国家とみなせるのは、世界にわずか29カ国しか残されていないという見方もある。(チーズマン、ビアンキ、シール)
ドナルド・トランプの中核目的は、ワシントンの特権的立場を利用して、同盟国と敵対国の双方から譲歩、貢ぎ物、恭順を引き出し、彼が純粋なゼロサムとみなす世界で短期的利益を模索することにある。この略奪的覇権主義は一時的には機能しても、長期的には失敗に終わる。(ウォルト)
ハンガリーを超えて
―― 世界の民主化運動が学ぶべき教訓
2026年5月号 ロリーヌ・レーデイ テキサス大学オースティン校 公共政策大学院准教授(国際関係論)
「政府に友好的なオリガルヒを通じて経済的影響力を行使し、党に忠実な支持者を責任者に任命して社会・文化・メディア組織を支配する」ビクトル・オルバンの権力システムは、国内で「競争的権威主義」体制を築こうとする世界の独裁者たちのモデルとされてきた。だが、この支配体制にも、権威主義政権の与党に有利な選挙の区割りと制度にも、落とし穴は存在した。民主派は、野党勢力を結集し、与党が作り出した社会的分断を逆手にとり、その政治腐敗、悪化する行政サービスや高インフレへの対応に失敗したことを選挙の争点に据えた。ハンガリーでの民主派勢力の成功は、競争的権威主義体制下にある各国の野党が学ぶべき教訓を示している。
追い込まれた民主主義
―― 非自由主義インターナショナルの台頭
2026年2月号 ニック・チーズマン バーミンガム大学 教授(民主主義) マティアス・ビアンキ アスントス・デル・スール ディレクター ジェニファー・シール トルクァト・ディ・テラ大学 准教授(政治学)
非自由主義の権威主義国家が台頭を続ける一方で、民主主義国家は衰退している。2025年には45カ国が民主主義から離れて、独裁体制に移行し始めた。いまや完全な民主国家とみなせるのは、世界にわずか29カ国しか残されていないという見方もある。非自由主義の指導者たちの共通項は、権力を個人に集中させ、抑制と均衡を弱体化させ、政治的操作のために偽情報を利用することだ。さらに、多元主義を空洞化させ、反対勢力を非合法化することで、政治的権利と市民的自由を後退させる。しかも、国境を越えた非自由主義のネットワークを形作っている。すでに、世界のパワーバランスは独裁体制にとって有利な方向へ傾きつつある。民主国家連合に流れを覆す方法はあるのか。
トランプ戦略の末路
―― 主要国の反発と拒絶
2026年3月号 スティーブン・M・ウォルト ハーバード大学ケネディ・スクール 教授(国際関係)
ドナルド・トランプの中核目的は、ワシントンの特権的立場を利用して、同盟国と敵対国の双方から譲歩、貢ぎ物、恭順を引き出し、彼が純粋なゼロサムとみなす世界で短期的利益を模索することにある。この略奪的覇権主義は一時的には機能しても、長期的には失敗に終わる。対米依存を減らす努力をする国もあれば、アメリカのライバルと新たな取り決めを結ぶ国もあるだろう。そして相当数の国が、アメリカの利己的な行動へ報復する機会を待ち望むようになるだろう。結局、世界的な反発が高まり、ワシントンの主要なライバルにとって魅力的な機会がもたらされる一方、アメリカの安全、繁栄、影響力は低下していくだろう。


