「グローバルサウス」の問題点
―― 欧米諸国の思い込みと誤解
2024年5月号

現在の欧米における多くの政策論争では、「グローバルサウス」の存在が既成事実とみなされている。だが、グローバルサウスをまとまりのある連合としてとらえると、各国の個別の懸念を単純化したり、無視したりすることになりかねない。ブラジルやインドとの関係を強化すれば、他のグローバルサウス諸国も後からついてくると考えられている。これでは、債務、気候変動、人口動態、国内暴力など、各国の政治を形作っている固有の圧力がみえなくなってしまう。アジア、アフリカ、ラテンアメリカの国々を地政学的ブロックとして扱っても、彼らが直面する問題の解決にはつながらないし、アメリカとそのパートナーが求める影響力を確保することもできないだろう。