Vol.42 欧米秩序の衰退でリーダーなき世界へ
―― リベラルな覇権後の世界
Decline of the Western Order and World without a Leader
掲載論文
「リベラルな覇権」は終わりつつある。すでに世界は多極化し、地政学の時代を迎えている。アメリカのリーダーシップが衰退するなか、まるで大国による勢力圏がつくりだされつつあるかにみえ、流れは明らかに統合から反統合へと向かっている。プーチンや習近平が独裁色を強めているだけではない。欧米でもナショナリズムが台頭し、ポピュリストが政治を主導しつつある。ドナルド・トランプ率いるアメリカが経済ナショナリズムを標榜するなか、今後リベラルな欧米秩序を主導していくのはドイツのアンゲラ・メルケルになるとみなされている。大きな反発にさらされながらも、それでもグローバル化は続くと考えられている。民主国家の衰退と権威主義的資本主義国家の台頭に特徴づけられる時代に、資本主義と民主主義は持ち堪えられるのか。歴史は再び動きだしている。
- 第一章 地政学時代と民主主義の危機
- 「歴史の終わり」と地政学の復活―― リビジョニストパワーの復活
- 民主主義の危機にどう対処するか―― ポピュリズムからファシズムへの道
- 「リベラルな覇権」後の世界―― 多元主義的混合型秩序へ
- Classic Selection 21世紀は権威主義的資本主義大国の時代になるのか
- 第二章 漂流する大国間関係
- 解体する秩序―― リーダーなき世界の漂流
- 欧米の偽善とロシアの立場―― ユーラシア連合と思想の衝突
- EUの衰退と欧州における国民国家の復活
- 中国とロシアの関係―― 中国がロシアとの同盟を模索しない理由
- 第三章 欧米世界の内なる漂流
- 終末期を迎えた資本主義?―― もはや民主政治では資本主義を制御できない
- 近代化と格差を考える―― 再び格差問題を政治課題の中枢に据えるには
- 先進民主国家体制の危機―― 改革と投資を阻む硬直化した政治
- 第四章 民主体制はポピュリズムの台頭に持ち堪えられるか
- 2016年の政治的意味合い―― アメリカの政治的衰退か刷新か
- 見捨てられた白人貧困層とポピュリズム
- トランプ後もポピュリズムは続く―― なぜ欧米でポピュリズムが台頭したのか
- ヨーロッパにおけるポピュリズムの台頭―― 主流派政党はなぜ力を失ったか