Vol.39 テクノロジーが変えた世界
フォーリン・アフェアーズ傑作選 2013―2014
A World That Techonlogy Transformed
掲載論文
ビッグデータやモノのインターネットに象徴される情報テクノロジーの進化、ヒトゲノムの解読、そして合成生物学の進化はわれわれの社会や生活だけでなく、人間の生命観や価値観そのものを大きく変化させている。一方、資本主義民主体制は、少子高齢化による社会保障負担の重圧だけでなく、民主体制を支えてきた自由とプライバシーを蝕む監視社会・ビッグデータ権威主義の潜在的脅威にもさらされている。そして、利便性の高い情報技術の進化と拡散が一方で監視と抑圧のツールを作り出すなか、歴史や領土をめぐる古くからの確執が再燃している。現状は、技術によって急速に変化した価値に翻弄され、困惑する社会が、新しい国家構造と社会契約のアイデンティティを模索し、もがいているかにみえる。先端技術の進化と価値観の変貌、少子高齢化と資本主義民主国家体制の危機、歴史的確執の再燃、そして変化するグローバル経済は2014年の世界をどこへ導くのか。
- 第一章 テクノロジーが変えた世界
- ビッグデータの台頭
- 合成生物学のポテンシャルとリスク― 人類社会への大いなる貢献か、それとも悪夢か
- インターネットでデータ化される世界― 「モバイルインターネット」と「モノのインターネット」の出会い
- 第二章 先進民主国家のジレンマ
- 資本主義の危機と社会保障― どこに均衡を見いだすか
- 日本を抑え込む「シルバー民主主義」― 日本が変われない本当の理由
- アベノミクスと日本経済
- 暴かれたアメリカの偽善― 情報漏洩とアメリカのダブルスタンダード
- 第三章 エネルギー資源と地球環境
- 破壊と汚染で原始海洋へと回帰する海― 退化する海洋
- 森林伐採と地球温暖化― 農業開発と環境保護を両立させるには
- 世界エネルギーアウトルック―― 中東原油の重要性は変化しない
- 第四章 日中対立―対話は実現するか
- 復活した日本― 安倍晋三首相との対話
- 経済相互依存で日中紛争を抑え込めるか― ナショナリズムかそれとも貿易か
- 第五章 アジアリバランシングと東アジア
- 岐路にさしかかった日本の外交・安保政策― 変化した国際環境で問われる日米同盟の価値
- 米中に引き裂かれる世界― 欧米なき世界と中国なき世界への分裂
- 第六章 2014年の世界経済
- 緊縮財政という危険思想
- 中国の労働者はどこへ消えた― 経済成長至上主義の終わり
- WTOと地域貿易構想― TTPとTTIPの可能性