Vol.32 フォーリン・アフェアーズで日本を考える
―― 制度改革か、それとも日本システムからの退出か 1986-2010

2010年9月発売

Foreign Affairs Essays on Japan: Voice of Exit from the System?

掲載論文

1990年代に日本の企業利益、公益、個人の利益は大きな食い違いを見せ始め、それまでの経済・社会システムはもはや非効率的で現実と符合しないものと考えられるようになった。企業利益、公益、個人の利益をうまく重ね合わせた日本株式会社はここに崩壊し、90年代以降、企業は利益を求めて国内投資よりも外国投資を重視するようになる。そして、いまや、高齢社会と社会保障支出の増大、巨額の財政赤字、グローバル・インバランスの調整プロセスとしての円高によって日本はさらに追い込まれ、しかも、日本経済は金利ゼロでも消費者も企業も投資をしない「流動性の罠」にはまっているかにみえる。経済・貿易の基盤である国際秩序の安定を支える日米の同盟関係も大きく揺らいでる。もはや政界再編や状況対応策では問題解決はおろか、先送りさえできないだろう。必要とされているのは、グローバル世界の現実を踏まえた上で公益と企業・個人の利益を確保できるような制度改革、新たな制度設計ではないか。日本というシステムの改革を求めて声を上げるか、それともシステムから退出するか。問われているものは非常に大きい。

  • 第一章  制度改革、それともシステムから退出するか?
  •   日本システムから脱出する企業と個人(2001年9月号)
  •   行政指導と終身雇用の終わり ―― 「日本株式会社」の復活はない(1993年6月号)
  •   日本再生の鍵を握る「コーポレート・ジャパン」 (1997年4月号)
  • 第二章 日本的制度とは何か
  •   超えられなかった過去 ―― 戦後日本の社会改革の限界(1999年9月号)
  •   日本問題―― 異質な制度と特異性に目を向けよ(1986年1月号(「諸君」))
  •   1940年体制の弊害を克服するには (2002年1月号)
  •   官僚と政治家が日本を滅ぼす?(2000年7月号)
  • 第三章 変化する国内・国際環境に日本は適応できるか
  •   日米安全保障条約50周年の足跡と展望―― いまも安保はグランドバーゲンか?(2010年3月号) 
  •   日本の歴史認識と東アジアの和解を考える―― 反動を誘発する謝罪路線の危うさ(2009年5月号)
  •   高齢社会が変える日本経済と外交(1997年6月号) 
  •   米恐慌型経済への回帰(1999年2月号)
  •   論争 グローバル経済危機はいつまで続くのか ―― 日米、二つの経済バブルを検証する(2009年7月号)

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