Vol.28 グローバル金融危機のなかで世界のエコノミスト、政治家、政策のプロは
何を考え、今後をどうみているのか
Thinking about 2008 Financial Economic Crisis
Roots, Causes and Future Prospect
掲載論文
2008年前半まではサブプライムローン危機が実体経済に影響を与えるかどうか、リセッションがどのくらい長引くかを争点に考えられていた危機が、いまや大恐慌以降、もっとも深刻なグローバル経済・金融の危機と化している。危機は、各国の経済・貿易構造の再編を強いるだけでなく、経済モデルもドル基軸通貨体制も変化させるかもしれない。景気刺激策の後には、インフレとドル危機が待ち受けている危険もある。しかも、危機は、経済・金融領域だけでなく、地政学秩序さえも動揺させる恐れがある。また危機を緩和させ、再発を防ぐという目的からの国際協調が、国や地域を単位とする政治対立や保護主義の台頭によって行く手を阻まれる危険もある。危機のなかで世界の知性は何を考え、今後をどのように見通しているか。未曾有の危機のなかで将来を見通すための必読の書 。
- 第一章 ドキュメント ――サブプライム危機から世界金融・経済危機へ
- ワールド・エコノミック・アップデート――「サブプライム後」のアメリカ経済、世界経済を分析する
- シャドー・バンキングの崩壊とG7リセッション
- カーライル・グループ、D・ルーベンシュタインが語る金融危機第2幕に備えよ――強欲は鳴りをひそめ、恐怖がとって代わった
- 金融市場規制を考える
- グローバル金融危機が途上国に与える影響
- 第二章 何が金融危機を引き起こしたのか
- グローバル金融危機と地政学秩序の再編――欧米は衰退し中国が台頭する
- アメリカ流市場経済モデルの崩壊?――何が金融危機を引き起こし、今後、どうするのか
- グローバル金融危機のルーツを探る――遠因は世界におけるドル建て外貨準備の増大にある
- グローバル・インバランスと金融危機
- 第三章 金融・経済危機の余波と展望
- グローバル経済の危機と機会――今は新秩序に向けた創造のとき
- グローバル化に即した新ブレトンウッズ体制とは
- 中国は内需を拡大し、為替操作を止めよ――金融危機と米・アジア関係
- 金融危機と戦略問題――R・ハースの米下院軍事委員会における証言から
- 保護主義の台頭と地政学リスクを考える
- 金融危機と湾岸の経済ブームの終わり
- 経済刺激策と地球温暖化対策を一体化させよ