ケシを原料とするオピオイド鎮痛剤は、長年、手術後の痛みの緩和、末期ガン患者に安らぎを与えるために利用されてきた。しかし、慢性的な痛みを抑えるために長期的に処方されると、問題を引きおこす。依存リスクを高めるとともに、耐性が形成されるために、初期と同じ効果を求めて服用量が増える。オピオイドが非常に危険なのは、致死量と通常の摂取量の間に僅かな違いしかないことだ。2000―16年にオピオイドの過剰摂取によって死亡したアメリカ人の数は、第一次世界大戦と第二次世界大戦のアメリカ人犠牲者の合計を上回っている。一方、製薬企業は、大きな批判にさらされているアメリカとカナダ市場から離れ、潜在的市場をアジアやヨーロッパに定め、マーケティングを展開しており、いまやオピオイド危機がクローバル化する恐れがある。