文化と民主主義の未来
―― 何が人々の世界観を左右するのか
2024年4月号
戦争、経済競争、政治対立に引き裂かれた世界では、文化の役割などサイドショーにすぎないと思えるかもしれない。だが、民主国家と独裁国家の戦いの結末は文化に大きく左右される。人々が世界をどうとらえるかは、どのような音楽を聴き、いかなる本を読むか、鑑賞する映画、テレビ、美術品、訪問する美術館、学習する教科書によって形作られるからだ。独裁国家は、自分たちの立場を外国に拡散するために、まず、国の物語やイデオロギーを自国の民衆に押しつけるために、テクノロジーを駆使したトップダウン型の努力を続けている。こうした独裁国家の試みにもっとも効果的に対抗できるのは、欧米政府の文化担当官ではない。むしろ、リスクのある環境で日々仕事をしている作家、芸術家、キュレーターたちだ。・・・