ザ・アリーナ
―― 米中対立と東南アジア
2021年3月号
中国の国家規模と経済の重みが東南アジア諸国の不安を高め、習近平国家主席の強引な外交路線がそうした感情をさらにかき立てている。しかし、こうした不安もアジア最大のパワーとの政治的、経済的つながりを維持していく必要性とともに、バランスよくとらえなければならない。「中国かアメリカか」、いずれか一つとの排他的な関係を選べる国は東南アジアには存在しない。アメリカが中国に対してあまりにも強引なスタンスをとれば、事態が紛糾するのではないかという地域的懸念を高め、あまりにも控えめな態度をとれば、見捨てられるのではないかと不安になる。だが「国家は競争する一方で、協力することもできる」。これこそ基本的に東南アジアがアメリカと中国の関係に期待していることだ。