戦狼外交の正体
―― 中国外交官たちの強硬路線と不安
2021年11月号
2008―09年の世界金融危機以降、中国モデルの正しさが立証されたという思い込みから、北京は自己主張の強い外交戦略をとり始めた。2012年に習近平が中国共産党総書記に就任すると、変化は一気に加速した。北京の政府高官たちが習の指示に従ったのは、出世のためだけではなく、恐怖のせいでもあった。実際、政治的背信行為も一種の汚職とみなされた。外交官たちは、外務省での「自己批判」の会だけでなく、党に対する忠誠と命令に従う意志が試される「確認合宿」に参加しなければならなかった。こうして現在の北京は、「世界は北京の方針に適応しなければならない」と決めてかかっているかのような言動をみせるようになった。