台頭するヨーロッパの地域主義
1997年4月号
EU統合の力学の一方で、ヨーロッパでは経済成長を共通目的とする国境を超えた都市や地域間のつながりが、ある時は自然発生的に、またある時は意図的に形成されつつある。鍵を握るのは、シュツットガルト、バルセロナ、リヨン、ミラノの周辺地域、言い換えれば、ドイツのバーデン・ビュルデンブルグ、スペインのカタルーニャ、フランスのローヌアルプ、イタリアのロンバルディアの各地方が中核となってつくりだしている二つの「スーパー・リジョン〈スーパー地域〉」である。EU、国民国家、地域主義という、相互に関連しながらもそれぞれに異なる三つの潮流の離合集散は、ヨーロッパ、そして世界の経済・政治秩序にどのような影響を与えるのだろうか? 国民国家は、地域主義と超国家主義の力学の前に崩壊してしまうのか?