1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

テーマに関する論文

イラクを攻撃すべきこれだけの理由

2002年4月号

ディレクター チャールズ・ボイド  元駐留NATO米軍副司令官 、 共同議長 リチャード・ホルブルック 前米国連大使、 カーラ・ヒルズ  元米通商代表部代表

以下は、米外交問題評議会が米同時多発テロ後に組織した「テロリズムに関するタスクフォース」の研究会報告からの抜粋。タスクフォースには、シャリカシュビリ元統合参謀本部議長、ブラウン前国防長官、ルービン前財務長官、アジャミー・ジョンズ・ホプキンス大学教授、ナイ・ハーバード大学教授、ウェブスター元CIA及びFBI長官、ウィールジー元CIA長官、ジョージ・ソロス氏らが参加している。

金融危機のさらなる教訓
――アルゼンチンのケースから

2002年4月号

マーティン・フェルドシュタイン ハーバード大学教授

アルゼンチンでの金融危機の教訓は3つある。固定為替レートは、通貨の過大評価、通貨危機、債務不履行を引き起こしかねず、変動為替レートこそがこれらの問題を避ける唯一の方法だということ。第2に、ドル建ての借り入れが非常に危険だということ。そして第3に、貿易自由化、外国からの直接投資の奨励、国営企業の民営化策が好ましい政策であるということだ。

石油をめぐるロシア対サウジの最終決戦
――エネルギー安保の分水嶺

2002年3月号

エドワード・L・モース  前米国務副次官補(国際エネルギー担当)、ジェームズ・リチャード ファイヤーバード・マネジメント社ポートフォリオマネジャー

ロシアの石油企業によるロシア、中央アジア地域での開発が実現すれば、今後4年のうちに旧ソビエト諸国からの石油輸出の合計は、サウジアラビアの輸出にほぼ匹敵するものになる。九月十一日が、ロシア、アメリカ、石油輸出国機構(OPEC)にとって、全く新たな地政学状況を作りだしていることを、ロシアは、政治・経済的に立ち直る好機と捉えている。問題は、サウジアラビアが、ロシアの攻勢を阻止できるほどの、徹底した価格戦争を戦う余力があるかどうかだ。

新世紀の戦略的機会を生かすには

2002年4月号

ジョセフ・R・バイデン 米上院外交委員長

対テロ作戦をめぐっては、各国の国内法による取り締まりから情報活動の共有にいたるまで、われわれは同盟国、友好国の国際的協力を必要としており、孤立も単独行動主義もアメリカの選択肢とはなり得ない。単独行動主義を経て、やっと開かれた国際協調とアメリカのリーダーシップというドアをアメリカ政府が突然閉ざしたり、何度も開けたり閉めたりすれば、今後数十年にわたって秩序を規定するであろう力学をうまく形作れなくなってしまう。現在の機会を秩序の長期的安定へと向かわせるには、国際協調を基盤とする世界へのエンゲージメントを堅持しなくてならない。

以下は、二〇〇二年二月四日にワシントンで開かれた、米外交問題評議会主催のミーティング・プログラムでのジョセフ・バイデン米上院外交委員長の演説からの要約・抜粋。

中東諸国の政治・経済改革の断行を求めよ

2002年4月号

マーティン・インディク 前駐イスラエル米大使

ワシントンはこれまで、社会変革によるカオスか、状況を放置したままでの腐敗の継続かという二者択一のなか、中東の腐敗した政権を支援することを選択してきた。だが、腐敗したサウジアラビア、エジプトの政権を支援した結果、アルカイダを誕生させるような社会土壌を育んでしまった。もはや同じ過ちを繰り返してはならない。ワシントンは新たな取り決めの一部として、中東諸国での政治・経済改革を強く求めていくべきである。

スーダン
――終わりのない戦争

2003年3月号

ランドルフ・マーチン 国際救済委員会シニア・ディレクター

「地域を不安定化させている。国際テロを支援している」というスーダン政府の悪評については、それを見直してもよいほどの改善がみられ、人権状況もある程度はましな状態になっている。こうした国内政策の転換や石油パイプラインの誕生によって、国際社会からの孤立状況も緩和されつつある。だが、内に目を向ければ、政府が抗争相手である南部の勢力と和解する動機は薄れつつある。石油の収益は政府が内戦を継続する財的基盤を得たことを意味するし、南部勢力間の対立も解消されていないからだ。

悪の枢軸と国際協調の行方

2002年3月号

アル・ゴア 前米国副大統領

ブッシュ政権は時にこれを逆さにして、「そうせざるを得ない時は他国とともに、可能であれば単独で」事を運んでいる。世界には「貧困と無知、疾病と環境破壊、腐敗と圧政」という「もう一つの悪の枢軸」が存在する。われわれが現在直面しているのは、膨大な規模の民衆が感じている幾重もの悲しみからほとばしる怒りの表れなのだ。重要なのは、アメリカがテロリストに対して毅然たる態度をとるだけでなく、経済的機会と民主的自由を支持しなければならない、ということだ。

「反独占」に関する米欧の認識ギャップ
―ハネウエル・GE合併挫折の背景にあるもの

2002年3月号

デービッド・S・エバンス ナショナル・エコノミック・リサーチ・アソシエーツ社 上級副社長

二〇〇一年七月、欧州委員会はゼネラル・エレクトリック(GE)とハネウエルインターナショナルの合併計画を認めないとする決定を下した。実現すれば年間の売上が千五百億ドルを超えるこの合併計画を、アメリカ司法省はすでに承認していた。それだけに欧州連合(EU)の決定は、両社だけでなく、合併によってハネウエルが強力で効率的な企業に生まれ変わると予測していた多くのアナリストたちにも衝撃を与えた。しかもヨーロッパとアメリカは、過去数年にわたり足並みの揃った反トラスト政策の運用をアピールしていただけに、一層衝撃は大きかった。今回のケースは、反トラストへのアメリカとヨーロッパの姿勢の違いを浮き彫りにすることになった。

パレスチナの混迷と内部対立
―和平プロセス再開の条件を探る―

2002年3月号

ハリル・シュカーキ ビルザイト大学政治学助教授

和平プロセスが破綻し、民衆が自治政府の統治能力をほぼ見限ったために、自治政府の正統性は大きく損なわれ、民族主義運動の新世代派が大きく台頭しつつある。アラファト議長は、この新世代派を懐柔しようと、彼らがイスラム主義勢力と共同歩調をとることだけでなく、イスラエル軍との過激な対立路線をとることも容認した。西岸とガザ地区からイスラエル軍を撤退させ、PLO主流派の力を弱め、主流派に取って代わることを夢見るこの新世代派の台頭こそ、第2次インティファーダの本当の理由なのだ。

サダム・フセイン政権存続の謎

2002年3月号

オフラ・ベンジオ/テルアビブ大学中東研究所上席研究員

サダム・フセインが権力を維持しているのは、その無慈悲なキャラクターと、反対勢力の失策のためであり、さらにはバース党、治安機構、軍部、取り巻きの派閥というイラクにおける権力の支柱のすべてをきわめてうまく管理しているからだ。彼の2人の息子たちへの権力継承も視野に入りつつあるが、2人は父親同様に残忍な人物で、政権交代は地域的な安全の高まりを意味しない。軍の指導層が民間の啓蒙グループや亡命者集団と手を組めば状況は大きく進歩するのであり、このためにも欧米は、サダムを封じ込めつつもイラク民衆の窮状をやわらげる措置をとるべきである。

Page Top