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テーマに関する論文

次なる攻撃に備えよ

2001年11月号

ウィリアム・J・ペリー  元米国防長官

アメリカに対する憎しみ、組織的な作戦を実行できるだけの資源、自らの命をも顧みないほどの狂信主義をテロリストが兼ね備えていれば、その帰結がいかに甚大なものになるかを、世界は目の当たりにした。そしていまやもっとも差し迫った脅威は、テロ集団が、トラック、貨物船、飛行機、小型船で核兵器や生物兵器攻撃をかけてくることである。脅威が出現する前に、それを抑え込む拡散防止などの「予防」戦略、相手に攻撃を思いとどまらせる「抑止」戦略、そして、予防と抑止が破られた場合に備えた「防衛」戦略という3つをバランスよく実施する必要があり、アメリカは米本土ミサイ防衛ばかりを重視したこれまでの防衛姿勢を大きく見直す必要がある。

中東世界でのアメリカの孤独

2001年11月号

フォアド・アジャミー/ジョンズ・ホプキンス大学教授

ビンラディンは、アメリカとイスラム世界の間にある縫い目に沿って、自分たちのための狭い空間、攻撃目標、そして支援基盤を見いだした。彼らは、イスラムの地が悲惨な状況にあるのはアメリカのせいで、祖国とアメリカの同盟関係を揺るがすことにさえ成功すれば、サウジアラビアやエジプトの政権を倒せると思い込んでいる。対テロ戦争を進めていくにつれて、アメリカは中東における孤立を思い知ることになろう。アラブ世界の支配者たちは、中東の見張り番をする外側の国と同盟関係を結べば、「共謀者」あるいは信仰上の裏切り者とみなす人々によって報復の対象とされることを理解している。今回の戦争は、アラブ・イスラム世界にアメリカがかかわり続ける限り、簡単な戦争とはなり得ない。

テロリズムと米本土防衛

2001年11月号

リー・ハミルトン 元米下院議員、民主党、現ウッドロー・ウィルソンセンター所長  ゲリー・ハート 元米上院議員、民主党 ウォーレン・ラドマン 元米上院議員、共和党 ニュート・ギングリッジ 元米下院議長、共和党

同時多発テロから三日後の九月十四日にワシントンで開かれた米外交問題評議会ミーティング・プログラムの議事録からの抜粋。討論に参加したのは、一九九八年に組織された「二十一世紀国家安全保障委員会」の主要メンバー。二〇〇一年一月三十一日に公表された同委員会の最終リポートは米本土へのテロの脅威を今後の安全保障上の最優先課題として位置づけていた。(訳注)

テロの経済への影響はどうなる

2001年11月号

ゲイル・フォスラー コンファレンス・ボード上席副社長  ヘンリー・コーフマン ヘンリー・コーフマン&カンパニー社長  ポール・ボルカー 前連邦準備制度理事会議長

二〇〇一年十月二日、ニューヨークの米外交問題評議会で開かれたミーティングプログラム議事録からの抜粋。

資源の効率利用が育む「新資源」
――アラスカ野生保護区の開発は必要ない

2001年10月号

エモリー・B・ロビンス  ロッキーマウンテン研究所研究担当最高経営責任者 L・ハンター・ロビンス  ロッキーマウンテン研究所戦略分析担当最高経営責任者

エネルギーの効率利用のペースが石油資源の枯渇ペースを上回り続ければ、いずれ石油は低価格であっても市場で見向きもされない資源になる。効率利用によって節約される資源は、いまや国内エネルギー供給の5分の2に匹敵する規模に達しており、これこそ最も急速に拡大している「資源」である。石油価格を引き下げ、安定させることができるのは、唯一需要サイドでのエネルギー効率利用の促進だけだし、効率利用レベルをほんの少し引き上げるだけでそれは実現する。石油の供給を増やすのではなく、使用効率に重点を置いた需要管理措置とクリーンな代替エネルギー促進策を政策の基盤に据えるべきである。

クラシック・セレクション
西洋とイスラム : 近代化と文明の受容

2001年10月号

バーナード・ルイス  プリンストン大学名誉教授

「近代化と西洋化」をめぐる長期にわたる議論は、「自らの固有の文明を汚さずにいかに近代化をはかるか」という、文明の「受容と拒絶」をめぐる判断についての議論にほかならない。だが、同時代における議論は、近代性が「それに先立つ文明の遺産を継承した」現代文明の規範・基準であることをとかく忘れがちだ。かつてはイスラムがそれを定義づけ、現在は西洋が、そしていずれ過去の諸文明の上に成り立つ西洋文明の遺産を継承するまだ見ぬ文明がそれを規定することになるだろう。

米外交問題評議会タスクフォース・リポート
地球環境に配慮した需要管理型エネルギー政策を

2001年10月号

エドワード・L・モース 米外交問題評議会・エネルギー政策タスクフォース議長  エイミー・M・ジャッフェ  同ディレクター

世界はエネルギー新時代に突入している。余剰エネルギーをいかに管理して売り払うかに腐心した時代は過ぎ去り、いまや増大するエネルギー需要を、地球環境保護策とのバランスに考慮しつつ満たしていかなければならない。この条件を満たすような資源・インフラ・技術開発に必要な投資をいかに取りまとめるかが課題なのだ。このリポートは、下院でエネルギー法案が通過し、上院での法案審議を控えた二〇〇一年九月上旬に発表されたエネルギーリポート(Strategic Energy Policy Update)の要約・抜粋で、二二八ページに掲載されている「二十一世紀の戦略的エネルギー政策の課題」のアップデート版である。全文はhttp://63.236.1.240/Public/publications/highlights/energy.htmlからアクセスできる。

米外交問題評議会タスクファース・リポート
二十一世紀の戦略的エネルギー政策の課題

2001年10月号

エドワード・L・モース 米外交問題評議会・エネルギー政策タスクフォース議長  エイミー・M・ジャッフェ 同ディレクター

以下は二〇〇一年四月に、米外交問題評議会とライス大学付属ジェームズ・べーカー公共政策研究所が発表したエネルギー政策に関するタスクフォース・リポートからの抜粋(英語の全文http//www.cfr.org/Public/publications/taskforce.htmlからアクセスできる)。同評議会のタスクフォース・リポート発表からほぼ一カ月後に、ディック・チェイニー副大統領が議長を務めたブッシュ政権のタスクフォースが「国家エネルギー政策」を発表した。

世界銀行の過去と未来

2001年9月号

ジェシカ・アインホーン  前世界銀行専務理事

過酷な経験と悲惨な現実を前にしているのに、世界銀行にはなぜこうも過大な期待が寄せられるのか。特定の問題や領域を無視しているという批判を受けて、世界銀行は次々と新たな任務を引き受け、その結果、任務が複雑化し、いまや組織的にもうまく管理されているとは言い難い状況にある。
政策決定者たちは、世界銀行の機能の一部を別途担う新たな組織の設立や、既存の機関に機能の一部を分散化させることを含むさまざまな選択肢を検討すべきだろう。解決策が何であれ、手に負えないほどに肥大化してしまった世界銀行の任務を再定義すべき時期にきている。虚心坦懐な自己認識を持って、管理面に焦点を絞りこんだ世界銀行の任務の再定義と機構改革を行うべきである。

グローバル化と仏外相の現実主義

2001年9月号

スタンレー・ホフマン  ハーバード大学教授

現実主義者で国家主権を重視するフランスのベドリヌ外相は、国の主権とは「国の威厳やアイデンティティー」そのものであり、グローバル化という侵略に対する「盾」だと言う。だが現実には、主権が国内の悪に必要以上に大きな盾を提供している部分があることも忘れるべきではない。今後フランスは、その「ソフトパワー」を強化していく必要があり、また、その影響力を増していくには同調してくれるパートナーとの連帯が必要である。そのためには、ベドリヌが痛烈に批判するメディアや非政府組織といった理想主義を得意とする勢力の力を借りる必要がある。「理念的現実主義」はそれ自体好ましいだけでなく、現実主義の立場も強化してくれるのだから。

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