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テーマに関する論文

シーア派とイラクの未来

2003年7月号

イツハク・ナカシュ ブランダイス大学 歴史学助教授

ブッシュ政権が考える新生イラクのビジョンとシーア派が思い描く戦後イラクのビジョンの間には大きな開きがある。ワシントンは親米政権が率いる欧米型の民主的イラクを思い描いているが、シーア派、そして他のイラク人の多くは、自分たちの文化と伝統を反映する独立したイラク、ペルシャ湾における米軍の拠点として利用されないイラクの実現を望んでいる。

アメリカ帝国の虚構
―ソフトパワーを損なう単独行動主義の弊害

2003年7月号

ジョセフ・S・ナイ ハーバード大学教授

二十一世紀の最大の問題は、世界でもっともパワフルな国家でも管理できない状況がますます広がりをみせていることだ。
新国家安全保障戦略を成功させられるかどうか、そして、他の諸国がアメリカの優位を背景とする戦略を穏やかな戦略とみなすかどうかは、ワシントンが他国の意見に耳を傾け、グローバル社会の利益も促進できるようにアメリカの国益をより広義に定義できるかどうかに左右される。新戦略をうまく実施していくには、新単独行動主義が必要だと考える以上に、ソフトパワーと多国間協調に気を配る必要がある。

北朝鮮危機とアメリカの東アジア戦略の大転換
―米戦略の重心は日本から中国へ?

2003年7月号

モートン・アブラモウィッツ 元カーネギー国際平和財団会長
スティーブン・ボスワース 元駐韓米大使

中国の経済的・地政学的台頭、日本の地域的影響力の低下、自主路線を強める韓国、そしてアメリカの対テロ戦略。北朝鮮危機の背後で展開するこれら一連のトレンドは、アメリカの東アジア戦略を大きく変化させ、アジアの安全保障地図を大きく塗り替えることになるだろう。
すでにアメリカは中国とより緊密な関係を築き始め、アメリカにとっての日本の戦略価値は大きく低下している。北朝鮮危機、中台問題はどうなるのか。韓国、日本の駐留米軍は撤退するのか。

米外交問題評議会タスクフォース・リポート
北朝鮮問題に対する国際連帯を組織せよ

2003年7月号

タスクフォース共同議長
モートン・アブラモウィッツ 元カーネギー国際平和財団会長
ジェームズ・T・レーニー 元駐韓米大使
タスクフォース・ディレクター
エリック・ヘジンボサム 米外交問題評議会シニア・フェロー

核武装した北朝鮮を現実として受け入れ、核分裂性物質の輸出を阻止するための臨検態勢をとらざるを得なくなったらどうなるだろうか。日本はこうした現実に大きな衝撃を受け、日本人の(軍事や防衛への)認識も大きく変わるかもしれない。(ジェームズ・T・レーニー)
論文は、米外交問題評議会朝鮮半島問題タスクフォースの共同議長(モートン・アブラモウィッツ、ジェームズ・T・レーニー)とディレクター(エリック・ヘジンボサム)の三氏が、二〇〇三年五月下旬に行った朝鮮半島問題リポートに関する記者会見後の質疑応答からの抜粋・要約。記者会見発表の邦訳はwww.foreignaffairsj.co.jpから、全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。順序を入れ替えている部分がある。

米外交問題評議会タスクフォース・リポート
北朝鮮問題にどう対処する

2003年7月号

タスクフォース共同議長
モートン・アブラモウィッツ 元カーネギー国際平和財団会長
ジェームズ・T・レーニー 元駐韓米大使
タスクフォース・ディレクター
エリック・ヘジンボサム 米外交問題評議会シニア・フェロー

二〇〇三年五月下旬に公表された朝鮮半島問題タスクフォース・リポートは、北朝鮮の核開発をやめさせるには、アメリカが暫定交渉への純粋なコミットメントを示し、米韓関係を修復し、中国がより大きな役割を担う必要があると指摘している。
前半のPART1では危機の経緯、北朝鮮の意図、アメリカの政策、各国の立場が分析され、後半のPART2では「すでに危険水域に入っている」とされる北朝鮮危機に対する交渉枠組み及び政策についての提言がなされている。邦訳文は同リポートからの抜粋・要約。全文(英文)はwww.cfr.orgから、日本語によるタスクフォースのメンバーリスト、主旨統括などは、www.foreignaffairsj.co.jpからアクセスできる。

Classic Selection 2003
CFRリポート
中国の軍備近代化努力をどうとらえるか

2003年7月号

スピーカー
ハロルド・ブラウン タスクフォース議長 元米国防長官
ジョセフ・プルーハー タスクフォース副議長 元駐北京米大使 元米海軍提督
タスクフォース ディレクター
アダム・シーガル 米外交問題評議会シニア・フェロー

「日本が今後も主要な地域的軍事パワーになることを選択せず、北京が現在の軍事力近代化路線を維持すれば、20年後の中国は、東アジアにおける支配的な軍事力を確立している」(CFRタスクフォース・リポート)

イスラエルとパレスチナ
―二国家解決策に向けたフェンス分離策を

2003年6月号

ユバル・エリズール イスラエル・マーリブ紙副編集長

イスラエルとパレスチナの問題は、軍事力でも、交渉でも解決できない。自爆テロとそれに対する軍事的報復という血塗られた二年間を経過したいま、イスラエルとパレスチナが必要としているのは、完全な分離策を通じた冷却期間であり、それを実現できるのは両者間にフェンスをめぐらすことによってだけだ。
物理的分離策がとられれば、最終合意へと至るような、より効果的な国際的調停への道も開かれる。フェンスは、双方に二国家解決策が唯一の現実的な選択肢であることを認識させ、この路線での問題解決を妨害しようとする暴力的な動きを阻止する効果がある。

パレスチナの信託統治を検討せよ
―「ロードマップ」以降の解決策は何か

2003年5月号

マーチン・インディク 元駐イスラエル米大使

自爆テロと軍事的報復作戦の悪循環によって、イスラエルとパレスチナは奈落の底へと突き落とされつつある。新たに表明された「ロードマップ」和平案も、いずれ失敗するのは目に見えている。
和平を阻む最大のジレンマは「パレスチナ側に責任ある交渉パートナーを誕生させ、パレスチナ治安部隊がうまく任務を果たせるようにしない限り、イスラエル側の責任ある対応も引き出せない」という点にある。必要なのは、ロードマップではなく、このジレンマを唯一うまく断ち切れる「信託統治」のための見取り図だ。イラク戦争によってワシントンが得た新たな影響力を中東和平の実現に向けて生かすためにも、ロードマップ崩壊後の信託統治案をいまから準備しておく必要がある。

パレスチナの自爆テロを終わらせるには

2003年6月号

ガル・ルフト イスラエル国防軍中佐

パレスチナ人の多くは、これまでイスラエル国内の民間人を攻撃対象にすることには反対し、独立という目的をテロに訴えることなく実現しようとしていた。だが、いまや、自爆テロ路線が戦術として確立され、一方、イスラエルの報復攻撃も、テロ路線を煽り立てているだけだ。
どうすればテロに訴えることなく独立できるかをパレスチナが考えるのは正しいことだし、それによってイスラエルの安全も保障される。彼らがこの路線での希望を抱くようにならない限り、テルアビブはナチスと同じ運命をたどることになる。

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