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テーマに関する論文

2020年までには、ヨーロッパは、消費する天然ガスの4分の3を輸入するようになり、その大半をロシアからの輸入に依存することになると考えられている。しかし、専門家のなかには、ロシアが自国のエネルギー資源を外交政策のツールとして用いだす危険を指摘し、ヨーロッパがエネルギー資源をロシアに依存するのは危険だと考える者もいる。事実、ヨーロッパは、ロシアからの資源の安定供給が脅かされることを恐れて、プーチン政権の国内、近隣地域での強権的手法にもしだいに目くじらを立てなくなってきている。すでにエネルギー資源を盾とするロシアの地政戦略の危険な先例が作り出されつつあるとみる専門家もいる。

経済成長は本当に民主化を促すのか
―― 中国の民主化はなぜ進展しない

2006年1月号

ブルース・ブエノ・デ・メスキータ
ニューヨーク大学政治学部長、フーバー研究所シニア・フェロー
ジョージ・W・ダウンズ
ニューヨーク大学社会科学部

近年では、抑圧政権は、経済発展を実現しつつも、民主主義の導入を非常に長い間遅らせることに成功している。例えば、中国は、この年にわたって力強い経済成長を遂げているが、依然として政治的には抑圧体制を温存している。現実には、経済成長によって抑圧政権の寿命は短くなるどころか、むしろ長くなっている。経済成長によって得た資金をバックに、公共交通機関、保健医療サービス、初等教育などの公共財を提供することで市民の満足度を高める一方で、民主化を求める市民の連帯を育む前提である政治的権利、人権、報道の自由を厳格に管理しているからだ。いまやわれわれは、経済成長は民主化を呼び込むという理論を見直す必要があるし、国際機関の融資条件に市民間の連帯をうながす一連の権利の保障を含めるべきだろう。

CFRミーテ ィ ング
IEAチーフエコノミストが語る、 世界のエネルギー需給見通し

2005年12月号

ファティ・バイロル スピーカー 国際エネルギー機関 (IEA) 経済分析部長  司会  ニューヨークタイムズ記者  ジャド・モーアワッド

「この5~6年をみると、世界の石油の需要増のほぼすべては交通・運輸部門の需要増大によるもので、これはかつてとは違うパターンだ。これまでは、産業、電力生産、家庭での需要増がその内訳だったが、いまや、需要増のほぼすべてが交通・運輸部門の需要増大に引きずられている。だが、この部門を石油以外のエネルギー資源へと移行させていくのは容易ではない。いかなるシナリオをたどっても、今後中東と北アフリカMENA の世界の石油供給にしめるシェアはますます増大していく」(F・バイロル)

イラク・シンドローム

2005年12月号

ジョン・ミューラー オハイオ州立大学教授

米兵犠牲者の増大とともに、世論の戦争への支持は低下する。そして、こうした戦争への支持率の低下を挽回するために大統領にできることはほとんど何もないし、支持率の低下は、戦争が終わっ ても歯止めが利かない。こうして、戦争後にはアメリカ社会での対外介入への嫌悪感が高まる。すでにイラク・シンドロームとでもいうべき対外介入を嫌悪する感情が高まりをみせつつある。対外介入を忌み嫌う戦後のシンドロームによって大きく損なわれるのは、ブッシュ・ドクトリン、単独行動主義、先制攻撃、予防戦争、そして世界にとって不可欠の国としてのアメリカという自己イメージに他ならない。とすれば、イラク戦争から最終的にもっとも大きな利益を引き出しているのは、イラク同様に悪の枢軸と名指しされた国々なのかもしれない。

人畜共通感染症の脅威
――鳥インフルエンザからBSE、エボラ出血熱まで

2005年12月号

ウイリアム・B・カレシュ 野生動物保護学会獣医学プログラム ディレクター
ロバート・A・クック 野生動物保護学会副会長

現代医学によって明らかになっている1415の感染症の60%以上が動物と人間双方への感染力を持っている。鳥インフルエンザ、重症急性呼吸器症候群(SARS)、エボラ出血熱、牛海綿状脳症(BSE、いわゆる狂牛病)などを含むこれらの人畜共通感染症のほとんどは、本来動物の病気であったものが生物種の壁を越えて人間に感染するようになったものだ。また、注目される機会はより少ないが、人間に一般的に見られるヘルペス、結核、はしかは動物にも感染する。病気は生物種や学問領域の垣根を越えて発生するという真実を認識し、それに応じた対応メカニズムを構築しない限り、人類は存亡の危機に立たされることになる。

ブッシュ政権の対中、対日政策を検証する

2005年12月

エリザベス・エコノミー/米外交問題評議会シニア・フェロー

北京が鳥インフルエンザ問題をめぐって十分な情報公開をしているとは断言できない。深刻な状態にあることを公表することへのためらいがみられるし、鳥インフルエンザに関して地方から正確な情報が寄せられているかどうか、北京の指導者自身、確信がもてずにいる。中国問題の専門家エリザベス・エコノミー(CFRシニア・フェロー)は、鳥インフルエンザの情報公開であれ、知的所有権の保護であれ、中国が国際社会で責任ある国家とみなされるには、国内の統治システムを抜本的に改革し、特に、地方において優れた統治システムを確立することが不可欠だと主張し、「それには長い時間を必要とする」とコメントした。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。

地球温暖化、異常気象と今後のエネルギー資源
―― 二酸化炭素固定技術を推進せよ

2005年11月号

ジュリオ・フリードマン ローレンス・リバモア研究所二酸化炭素管理プログラム責任者
トーマス・ホーマー・ディクソン トロント大学平和・紛争研究センター所長

増大するエネルギー需要と不安定な原油価格を前に、一部の先進国は石炭や石油に代わる代替エネルギーの開発を試みている。だがコストのかかる代替エネルギーへの転換では問題の一部しか解決できない。地球温暖化問題を抱えつつも、人類社会は依然として二酸化炭素を放出する化石燃料にエネルギー源を頼らざるを得ない状況にある。幸い、大規模な気候変動を引き起こさずに化石燃料を利用できる技術がある。それが、「二酸化炭素固定技術」と「二酸化炭素の地中貯留技術」を組み合わせたゼロエミッションの石炭ガス化複合発電施設だ。

現在の中国を理解するには
――屈辱の歴史の重荷と共産党の変革

2005年9月号

キショール・マブバニ/リー・クアンユー行政大学院院長

北京にとって、中国の台頭は、かつては列強の草刈り場とされ、内戦に苦しんだ1世紀に及ぶ国内的変動の時代についに終止符が打たれたことを意味する。先進国が形づくる近代世界に仲間入りを果たせるいま一歩のところまでついにやってきたと彼らは感じている。一方、アメリカの政策決定者たちは、中国共産党が大きな自己変革を成し遂げていることに気づかずに、現在の中国政府は共産主義時代の名残をとどめる古い体質をもっていると否定的に考え、中国の台頭を危険視している。

Classic Selection 2005
平和的台頭への道筋

2005年9月号

鄭必堅/中国改革フォーラム理事長

中国政府は2050年までに、民主的で経済的に繁栄する文化的な社会主義国家となるための開発戦略をすでに書き上げており、この時期までに先進世界における中レベルの国家となれば、「平和的な台頭」に成功したことになる。その過程で、時代遅れの社会管理政策を変化させて、「調和的な社会主義社会」を建設することを目的にしている。中国は民主的制度と法の支配を強め、精神文明に基づく安定した社会を構築しようと試みている。

Classic Selection 2005
CFR Interview
H・キッシンジャーが分析する中国の台頭

2005年8月号

ヘンリー・キッシンジャー
キッシンジャー・アソシエーツ会長

「私はアジアにおける新しい秩序の均衡が必要だとみているし、この均衡の一翼をアメリカが担いたいのなら、対中冷戦を再現するのではなく、協調路線をとるほうが賢明だろう。……ワシントンが中国の台頭のペースを弱めるような措置をとれば、中国人はアメリカのことを自分たちの国家目標を実現する上で最大の障害とみなすようになる。アメリカはこのようなリスクをあえて引き受けるのか。……中国はいずれアジアにおける大国になる。そして、世界政治の重心は大西洋から太平洋へとシフトしていく。これが現実だ」。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。邦訳文は英文からの抜粋、全文はwww.cfr.orgからアクセスできる。

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