CFRインタビュー
それでもイラクの政治プロセスは破綻しない
2006年2月号
シーア派の聖地であるアスカリ聖廟が爆破された事件によって、シーア派とスンニ派間の紛争が誘発され、すでに有力なスンニ派指導者を含む165人が犠牲になっている。イラクの暴力レベルがかつてないほどに高まり、無秩序状態に陥るなか、シーア派の指導者はシーア派の群衆に自重を呼びかけている。メディアはイラクが内戦に陥る危険を指摘し、ニューヨーク・タイムズ紙も「政治交渉は崩壊した」と伝えた。しかし、米国防情報庁の前中東・対テロ部長のW・パトリック・ランゲは、こうした見方には与しない。これまではシーア派が大規模な反撃を慎んできただけの話で、実際には、イラクでは長く宗派間紛争による内戦状態にあったとみるランゲは、「宗派間紛争はいずれ下火になっていき、シーア派は今後も政治権力の基盤固めに取り組み、スンニ派は政府にゲリラ戦争を挑み続けるだろう」と今後を分析した。聞き手はリオネル・ビーナー(www.cfr.orgのスタッフ・ライター)。