ウクライナに戦争を仕掛け、モスクワが敵視する個人を神経ガスで攻撃する。イランや北朝鮮などのならず者国家に先端技術を売り込み、サイバー兵器を無差別に利用する。しかも、核兵器と国連安保理常任理事国の地位に守られているため、国際的な非難や制裁を受けることもない。プーチンの後継者が抜本的な軌道修正を行い、罪を償い始めるとも考えにくい。結局、プーチンは、ロシアのエリートと社会を戦争の共犯に仕立て上げることで、この国が彼の体制から劇的に離れていく可能性を抑え込んでいる。こうして、アメリカとその同盟国にとって、中国といかに戦うかという問題に勝るとも劣らない、厄介な問題が作り出されている。