FAJブリーフィング
「京都」後の温暖化対策を検証する
2007年6月号
「2050年までに温室効果ガス排出量を少なくとも半減させることを含む、欧州連合(EU)、カナダ及び日本の決定を真剣に検討する」という最終文書を発表した地球温暖化をテーマとするハイリゲンダム・サミットは一定の成果を上げたと考えられている。だが、本当にそうだろうか。EUや日本と、アメリカの立場には依然として大きな開きがあるし、途上世界における「主要排出国」である中国とインドは、独自の対策は講じるとしても、成長を抑え込むようないかなる多国間排出削減目標にもコミットしないという立場を崩していない。さらに、「持続可能な発展」という文脈からみれば、途上国の貧困対策を押しつぶす形で、「先進国のアジェンダである環境保護政策」を優先すべき理由はないと批判する専門家もいる。排出量削減の数値目標というトップダウン方式を維持していくのか、それとも、普遍的な数値目標を追求するのはやめて、地域に即したボトムアップ方式のアプローチをとるべきなのか。バランスのとれた温暖化対策をとるために克服すべきハードルは数多く残されている。