1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。
2009年11月号
交渉に入ることに合意し、段階的な譲歩に応じることで国際社会から援助を引き出し、その後、交渉から離脱して挑発行動を取り、より大きな見返りが期待できる状態になってから、再び交渉テーブルに戻る。北朝鮮の指導者は15年にわたってこのやり方を繰り返してきた。・・・援助なしでは生きていけない北朝鮮が援助を引き出すツールである核やミサイル開発プログラムを放棄することはあり得ない。認識すべきは、外からの圧力には効果がなく、変化は北朝鮮の内側からしか起こりえないということだ。必要なのは、アメリカと同盟国が、北朝鮮民衆に対して自分たちの生活とは違う、非常に魅力的な代替策が外の世界に存在するのを教えていくことだ。
2009年11月号
2009年11月号
銀行貸し出しが大幅に増えない限り、マネタリーベースの拡大そのものがインフレを誘発することはないし、現実には銀行貸し出しが大幅に増大するような事態には依然としてなっていない。・・・ただし、金融引き締め路線を志向していても、将来どこかの時点で中央銀行が政府の財政赤字を埋め合わせざるを得なくなると人々が考えるようになれば、実際のインフレと将来のインフレ期待は上昇する。・・・私自身は、大規模な資源ギャップ(高失業率と低い資本稼働率)が存在しているところに、マネーサプライの急拡大という事態が重なったと現状を理解している。(C・エバンス)
温室効果ガス排出量削減の世界的取り組みが、一つのグローバルな条約を基盤に展開していくことはあり得ないし、2009年12月に包括的な合意が成立する見込みもほとんどない。地球環境対策を強化したいと考えている政府官僚や活動家は戦略を見直すと同時に、コペンハーゲン会議への大きな期待を引き下げるべきだ。グローバルな条約ではなく、野心的な国単位の政策と、排出量削減のための特別な機会に焦点を合わせたクリエーティブな国際協調を組み合わせた「ボトムアップアプローチ」を試みるべきだ。コペンハーゲンでの交渉の目的を、先進国の排出量削減へのコミットメントを強化し、途上国の環境対策を経済成長、安全保障、大気汚染など、途上国の指導者がすでに心配し始めている他の領域の問題へとリンクさせる程度へと引き下げない限り、会議はなんの成果も得られないまま終わることになる。
2009年10月号
世界のワクチンメーカーは、2009年にパンデミック(世界的流行)が宣言されたH1N1のワクチン生産に力を入れている。だが、「現在9カ国(アメリカ、カナダ、西ヨーロッパの5カ国、オーストラリア、日本)に存在するワクチンメーカーは、合計すれば8億4000万人分のワクチンを生産できるだけで、・・・これでは、数十億の人々にワクチンを提供することは到底できない」。「ワクチンメーカーを国内にもつ9カ国の総人口は7億5000万。・・・ワクチンの生産国は、国内用の十分なワクチンを確保した上で、他の諸国のワクチンを輸出することになるだろう」。十分なワクチンと抗ウイルス薬が存在しない以上、呼吸器疾患その他、インフルエンザが関わってくる疾患への対策をグローバルレベルで考える必要がある。
経済成長率だけでは国を判断できない。いまや次なる覇権国との呼び声の高い中国も、社会保障を強化して、経済成長よりも社会的安定を選ばざるを得ない状況に直面し、必然的に成長率は低下していく。何が国を偉大な存在にするのか。大規模な人口、経済力、軍事力だけでは十分ではない。・・・比類なき研究・開発への取り組みと高い高等教育のレベル、そして、他国の利益も高めるようなやり方で自国の利益を模索し、世界の公共財を高めて行く路線を取ることが必要だ。この路線を取ったがゆえに、20世紀には、アメリカの行動を待望する各国の期待が育まれていった。中国やロシア、あるいはヨーロッパや日本が、自国の利益を超えた領域での行動をとるだろうか。アメリカを世界の中枢を担う「規格外国家」としている最大の要因は、国益を国際的な公共財へと変化させるリベラルな思想を持っていることだ。
2009年10月号
ポスト・ソビエト時代における衰退からはすでに立ち直っているが、依然として地域大国のレベルに甘んじているロシアは、それでもグローバルな大国として振る舞おうとしている。その結果、ロシアはアメリカの中央アジアその他での影響力拡大を阻止することに気を奪われ、結果的に中国に足元を脅かされている。一方、中国は、すでにグローバルな大国へと変ぼうを遂げているにも関わらず、多くの場合、地域大国として振る舞うことに徹している。北京は、米ロのジュニアパートナー役を受け入れることで、利益と影響力の最大化を狙っている。ロシアは、アメリカのジュニアパートナーに甘んじることを拒絶することで、図らずも、中国のジュニアパートナーになってしまった。この枠組みは、北京がそうすることが都合がよいと判断する限り続くだろう。
地球温暖化が問題になっているとはいえ、いまや風力、地熱エネルギー、ある特定の太陽光エネルギー技術を含む、数多くの技術が、石炭のような従来のエネルギー源ほど安価ではないにしても、十分な量のクリーンエネルギーを供給できるところまで成熟している。問題は、資金へのアクセスが十分でないことだ。だが、市場メカニズムをうまく利用した排出権取引システムがあれば、この問題に正面から対応できる。・・・排出量割り当てが減少していけば二酸化炭素の価格は上昇し、排出主体が負担するコストは、排出削減のために負担するコストと反比例して増大していく。・・・市場は、資金を分配し、富を創出する強力なメカニズムだ。地球温暖化が地球全体に脅威をもたらしている現在、市場は社会変革を推進するメカニズムにもなる。
2009年10月号
二酸化炭素排出量削減の恩恵は世界全体で享受できるが、削減コストは各国が負担しなければならない。このコストと恩恵のバランスの見極めが難しいために国際条約をまとめるのは難しい。一方で、リスクが小さく、費用対効果が高く、大きな成果が得られるのに、ほとんど注目されていないオプションがある。それは、光を吸収し(温暖化を進める)「ブラックカーボン(=黒色炭素)」として知られる炭素粒子、そして低層オゾンを形成するガスの排出を削減することだ。黒色炭素と低層オゾン前駆物質の排出量削減はさまざまな意味で有望だ。コストが比較的小さくて済む上に実行しやすく、何十年分もの温室効果ガスの悪影響を相殺し、数多くの恩恵が直ちに得られ、しかも、いますぐに着手できる。