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テーマに関する論文

中国の民主化は一進一退を繰り返しながらも、先に進んでいる。必要なのは、一握りの支配層の権威と判断に依存するシステムから、広く受け入れられている拘束力のあるルールによって政府を運営するシステムへの移行を完遂させることだ。
地方での選挙、司法制度の改革、監督体制の強化をめぐって中国が現在進めている民主化の実験は、すべてルールを基盤とする制度への移行というトレンドのなかで行われているし、中国社会も開放化と多元性を模索して、しだいに市民社会の形成へと向かいつつある。大きな鍵を握るのが、胡錦涛の後継者がどのようにして選ばれるかだ。共産党メンバーの一部は、胡錦涛が引退する2012年までに、彼の後継を担う党総書記は、党中央委員会のメンバー全員の投票によって選ばれるようになるかもしれないと考えている。
孫文が1世紀前にそう望んだように、現世代の指導層も、民主主義こそ、中国人が長年にわたって模索し、命をかけて戦ってきた繁栄、独立、自由を実現するための最善の道であると考えているかどうか、今後の後継者選びがそれを測る大きな目安となる。

CFRインタビュー
なぜイラクから
撤退すべきではないか

2008年2月号

ジョン・マケイン 米共和党予備選・大統領候補

民主党が求めるように、ここでイラクから撤退すれば「これまでの成果は台無しになるし、この地域はカオスへと陥って大量虐殺事件が起き、アルカイダが再び息を吹きかえすことになる」。
イラクから撤退すべきでない理由をこう指摘した共和党のマケイン候補は、「かなり長期間にわたって(イラクに)米軍を展開させる必要がある」と語る。
イランとの交渉路線については、「私は、テロやイスラエルに対して極端な意見を持っている大統領にそれを宣伝するフォーラムの場をあえて与えたいとは思わない」と述べ、否定的であることを示唆した。
聞き手は、ロバート・マクマホン(www.cfr.orgの副編集長)。(邦訳文は英文からの抜粋)

CFRインタビュー
ニュースメディアの将来
 ――ブランド力あるメディアは生き残る

2008年2月号

ピーター・R・カーン ダウ・ジョーンズ前会長

「インターネットが台頭し、若者が新聞・雑誌を読まなくなり、競争が過熱している」ために、プリントメディアの先行きを悲観する声も多く聞かれるが、「一方でそのブランド力、別の言い方をすれば、公共性を追求することで得られる特権(フランチャイズ)に注目して、プリントジャーナリズムの今後を楽観する声もある」
 こう指摘するダウ・ジョーンズのピーター・R・カーン前会長は、「プリントメディアであれ、オンラインメディアであれ、もっとも重要なメトリックス(基準)は、購読者、あるいはネットユーザーが情報提供者をどのように捉えているかだ。これによって、読者、ユーザーのニュースブランドあるいは情報ブランドへの信頼関係、忠誠が築かれる」と指摘する。広告主も「そうしたブランドとユーザー間の結びつき、つまり、たんなる購読者数やクリック数ではなく、メディアブランドとユーザー間の信頼関係の質を評価する」と指摘した同氏は、プリントメディアの今後を左右するのはブランド力、フランチャイズだと強調した。
 聞き手はリー・ハドソン・テスリク(www.cfr.orgのアシスタント・エディター)。

CFRミーティング
ワールド・エコノミック・アップデート
 ――米経済は08年後半に本当に立ち直れるのか

2008年2月号

スピーカー
リチャード・バーナー モルガンスタンレー、マネージング・ディレクター
ミッキー・レビー バンク・オブ・アメリカ、チーフ・エコノミスト
ローレンス・メイヤー 前連符準備制度理事会理事
司会
ダニエル・K・タルーロ ジョージタウン大学法律センター教授

テロとの戦いの優先順位とは
 ――イスラム主義者、イラク、イラン、パキスタン

2008年2月号

マイケル・D・ハッカビー
前アーカンソー州知事、米共和党予備選・大統領候補

「私はサウジアラビアの抑圧体制を、石油資源を持たないスウェーデン同様に扱いたいと考えており、そのためには、エネルギー自立路線を確立する必要がある」
 「イラク駐留米軍の最高司令官であるペトレイアス将軍が提言するタイミングよりも早い段階で、大統領としての私がイラクからの撤退を開始することは決してない」
 「かなりの規模の戦力を残して治安の維持と拡大・強化に努めなければ、努力して手に入れた成果を失うことになりかねない」

CFRブリーフィング
国のブランディングを考える

2008年2月号

リー・ハドソン・テスリク スタッフライター

自国のイメージを各国が気にするのはいまに始まった現象ではない。だが、この10年間で、国が自国のイメージや名声を管理していくために用いる手段は大きく様変わりした。各国政府はいまや広告代理店と契約し、かつては企業の広報部が用いていたブランドマネジメントの理論を採り入れてイメージづくりに応用している。国のブランド力を測る新しい基準も登場しているし、どのような国家ブランディング(国のブランド化)のテクニックが有効かをめぐってさまざまな議論が起きている。 国のブランディングに向けた努力は、いまや観光業を超えて幅広い領域で行われている。対外投資を引きつけ、貿易取引を加速し、民間部門の競争力を強化するだけでなく、地政学的な影響力を強化するといった目的を洗練された手法で実現するために、いまや国は広告代理店の力を借りている。
 だが、こうした風潮のなか、国家ブランディングが引き起こす問題を指摘する声もある。優れた広報によって悪い政策の上辺だけを取り繕うようなことをすれば、大きなダメージが待ち受けているかもしれないからだ。

CFRミーティング
改革路線の継続こそ
インド経済発展の試金石
 ――ムンバイを国際金融センターに

2008年2月号

スピーカー ヘンリー・M・ポールソン   米財務長官
司会  ピーター・アッカーマン    ロックポート・キャピタル社マネージング・ディレクター

「アメリカ財務省が、インドと協力して改革と包括的な経済成長を促進することを望んでいる二つの分野について述べたい。一つは、物的なインフラ整備の資金を提供し、インドの一般家庭の生活に恩恵をもたらし、経済を活性化させること。もう一つは、ムンバイを国際金融センター(IFC)に発展させて、インドの金融システムを強化・拡大することだ。これら二つの目的を達成するには、国際的なスタンダードを受け入れ、政治的なリスクを冒してでも経済改革を積極的に前進させるという強いインド側の決意が必要になる」
 「いまやバンガロールに拠点を置くインド企業は、多国籍企業のバックオフィス業務にとって欠かせない役割を果たしている。この領域では、インド企業が世界のビジネスのやり方を革命的に変化させている。次のステップはムンバイに金融センターをつくり、地域を超えて企業と投資家に金融サービスを提供することだろう」(H・ポールソン)

政府系ファンドとグローバル金融市場
――政府系ファンドは脅威なのか

2008年2月号

ロバート・M・キミット/米財務副長官

政府系ファンドが多くの注目を集めているのは、政府系ファンドの活動がグローバル経済を構造的に変化させる可能性を秘めているからだ。実際、投資を通じて他国の安全保障インフラや民間企業の経営に対して大きな影響力を持つようになる可能性もある。だが、これまでの行動から判断すると、政府系ファンドは政治的な論争を誘発するような行動を慎んでいる。政府系ファンドの投資活動が自由で公正な活動である限り、政府系ファンドからの投資に対して開放的な路線をとり、国内および外国での成長と繁栄を促進すべきだろう。むしろ、必要なのは、政府系ファンドとファンドの受け入れ国が適用できる一連の政策原則を国際的に確立することだ。逆に、最大の脅威は「投資保護主義」の台頭だろう。

CFRインタビュー
ロシアの権力移行で何がどう変わるのか
 ――水面下で進む派閥間権力抗争

2008年2月号

スティーブン・セスタノビッチ 米外交問題評議会ロシア・ユーラシア担当シニア・フェロー

メドベージェフが大統領に、プーチンが首相になったときの権力バランスの再編に備えて、すでにクレムリンでは水面下で派閥抗争が始まっている。「だが、プーチンが自分の路線に合意していると確信するまでは、メドベージェフは大胆な行動はとれないはずだ」。
 ロシアの現状と今後をこう分析するロシア問題の専門家、スティーブン・セスタノビッチは、メドベージェフは「よりリベラルで民主的なロシア」の統治を思い描いていると指摘する。事実、メドベージェフは「国営企業の役員に政府の役人が名を連ねる理由はない」と表明し、プーチンの側近たちが、こうした企業に巣食っていることを痛烈に批判をしている。ただし、メドベージェフが政策路線を変化させていくとすれば、「プーチン同様に、就任から1年か2年過ぎてからだろう」と同氏は語った。
 聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。

Classic Selection
カストロ後のキューバ

2008年2月号

ジュリア・E・スウェイグ 米外交問題評議会ラテンアメリカ担当シニア・フェロー

ポスト・カストロ体制の権力移行はすでにかなり進行している。いまや実権を握っているのは弟ラウルと6人の側近たちで、彼らはカストロがつくり上げた体制を維持することを最優先課題に据え、カストロの路線に従って、新政府を安定させ、日々の問題に対応し、キューバ独自の改革モデルを構築し、ラテンアメリカと国際社会における地位を維持し、予想されるアメリカの政策をうまくかわして管理しようと試みている。
 しかし、すでにキューバが新たな時代へと足を踏み入れているというのに、ワシントンは、依然として民主化を求める体制変革路線を維持している。必要なのはキューバへの内政干渉を完全にやめて、2国間の危機管理と信頼醸成措置の導入を提案し、制裁を解除し、亡命キューバ人の路線と決別し、カストロ後のキューバに自分たちの道を選ぶ余地を与えることではないか。

(Classic Selection とは、現在の情勢を理解するうえで有益と思われる過去の掲載論文の再録です。本文の内容、及び著者の肩書きは掲載当時のものです)

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