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テーマに関する論文

金融・経済危機第2幕。永遠には繰り返せない財政出動の効果が薄れてきたときに主要国はどう動き、G20で合意されたグローバル・インバランスの是正に各国はどう取り組むのか。このまま政府介入型の経済運営が続き、国家資本主義が主流になっていくのか。それとも、アジアは内需をアメリカは貯蓄を増やしてノーマルな市場経済へと各国は立ち返り、貿易の新たな流れが生じ、その過程でドルはゆっくりと衰退し、ユーロや人民元が台頭してくるのだろうか。それとも、アメリカが再び「最後の買い手」の役目を引き受け、いずれ第2の金融危機に直目するのか。金融経済秩序が変化すれば国際政治秩序も再編される。そこで浮上してくるのは中国か、それともアメリカが支配的な優位を維持するのか。21世紀が本当にアジアの世紀になるのなら、日本はアジアとアメリカにどう向きあうべきか、そしてアメリカはアジアにどう接すべきなのか。2010年の世界の課題をフォーリン・アフェアーズで検証する。

CFRミーティング
核のない世界は幻想か?

2009年12月号

スピーカー モハメド・エルバラダイ 前IAEA事務局長
司会 リチャード・ハース 米外交問題評議会会長

残念なことだが、核を保有するか、核兵器を開発する能力を持っていればパワーと名声、そして保険策を手にできると多くの国が依然として考えている。・・・彼らが考えているのは軍備管理ではない。「核兵器を開発する必要があるか」という命題だ。・・・より状況を複雑にしているのは、・・・ウラン濃縮技術や再処理能力など、(核兵器そのものではなく)核開発に必要な能力を獲得するだけで十分だと各国が考えだしていることだ。・・・核廃絶を唱えるのは簡単だ。重要なのは、それに必要なシステムやレジームを考え、整備していくことだ。

CFRミーティング
中国経済は本当に成長しているのか
―――経済失速か内需拡大か

2009年12月号

スティーブン・ローチ  モルガン・スタンレー・アジア会長

中央統制経済システムにおいて政府が銀行に資金を提供するように命じ、地方政府がインフラプロジェクトを通常予算の別枠で実施するとすれば、経済が数値上成長するのは当然のことだ。減税措置が導入され、それによって得た資金の使途が個人に委ねられるアメリカとは大違いだ。国家発展改革委員会(NDRC)がGDP成長の目盛りを8に合わせれば、8%の成長を手にできる。2009年前半のGDP成長率が7・1%、後半が9%に達すると思われるので、数字は奇跡のように8%の成長ということになる。だが・・・ (S・ローチ)

トルコは西洋に背を向けたのか?

2009年12月号

モートン・アブラモウィッツ 元駐トルコ米大使
ヘンリ・J・バーキー カーネギー国際平和財団シニア・アソシエーツ

急速な経済成長を遂げたトルコ政府は次第に欧米から距離を置き、独自の外交路線を取り始めている。イラクのクルド人勢力と接触し、中東での紛争や危機の仲介を手がけ、ロシアとの関係も強化している。イスラム系のエルドアン政権は、欧米に背を向け、イスラム世界の代弁者になることを望んでいるのだろうか。どちらの方向を目指すとしても、今後のトルコの運命を大きく左右するのは、(これまで大きな権勢を振るい政治に介入してきた)軍の動きではない。既に軍事クーデターの時代は終わっているのかもしれない。むしろ政府が内外のクルド人問題にどのような対策をとるかでトルコの今後は左右される。より広義には、憲法と古びた政治制度を刷新する必要がある。これこそ、近隣諸国とトルコの和解を達成する大きな第一歩になるはずだ。

ドルとアメリカの赤字(後編)
―― 次なる危機を管理するには

2009年12月号

C・フレッド・バーグステン ピーターソン国際経済研究所ディレクター

アメリカが対外赤字を削減し、管理していこうと真剣に試みれば、アメリカに次ぐ3大経済大国である中国、日本、ドイツを含む諸国に大きな課題を不可避的に突きつけることになる。アメリカが世界経済における最後の買い手としての伝統的な役割を終えていくのであれば、経済成長を達成するために輸出の拡大に多くを依存してきたこれらの国々も、国内需要を急速に拡大していかなければならなくなるからだ。だが、このような世界経済の構造転換が実現すれば、グローバル経済の持続的成長が可能になるだけでなく、各国の経済成長もより安定したものになる。

ドルとアメリカの赤字 (前編)
――次なる危機を回避するには

2009年11月号

C・フレッド・バーグステン ピーターソン国際経済研究所ディレクター

諸外国がアメリカの大規模な財政赤字を(米国債の購入などを通して)ファイナンスし続けるとすれば、現在の危機をもたらした状況が再現され、金融メルトダウンのリスクが再び生じる。同時に、外国資金への需要がますます高まっていけば、いずれその構図は維持不能になり、2030年に到達するはるか前にドル価値は暴落し、ハード・ランディングという事態に直目する。幸運に恵まれて今後において危機を回避できたとしても、ますます多くの所得を対外債務の返済に充てなければならなくなり、アメリカ人の生活レベルは低下する。・・・すでにアメリカの運命は、中国だけでなく、日本、ロシア、そして数多くの産油国など、債権国の手に握られている。速やかに持続可能な経済ポジションへと立ち返り、その路線を維持していかない限り、経済、外交領域での政策上の自由も次第に損なわれていくだろう。

21世紀の核抑止力を考える
――抑止力への信頼性を再確立するには

2009年11月号

ケイル・A・リーバー/ジョージタウン大学准教授
ダリル・G・プレス/ダートマス・カレッジ准教授

アメリカの核戦力の削減ばかりを求め、敵の軍事基盤を攻撃する核能力を重視しない人々は、核武装国との間で通常(戦力)戦争が一度始まれば抑止力を維持していくのが難しくなることを理解していないようだ。攻撃をすれば間違いなく反撃されると敵が確信しなければ、信頼できる抑止力は形成できない。しかし、核保有国との通常戦争において、現状の核の路線や戦略では信頼できる抑止力は形成できない。アメリカが、潜在的な敵による核攻撃を抑止するには、アメリカの指導者が実際に行使できる、報復攻撃のための選択肢を準備しておくべきだ。

北朝鮮を変化させるには
――内からの変化を促す交流を

2009年11月号

アンドレイ・ランコフ 韓国国民大学歴史学准教授

交渉に入ることに合意し、段階的な譲歩に応じることで国際社会から援助を引き出し、その後、交渉から離脱して挑発行動を取り、より大きな見返りが期待できる状態になってから、再び交渉テーブルに戻る。北朝鮮の指導者は15年にわたってこのやり方を繰り返してきた。・・・援助なしでは生きていけない北朝鮮が援助を引き出すツールである核やミサイル開発プログラムを放棄することはあり得ない。認識すべきは、外からの圧力には効果がなく、変化は北朝鮮の内側からしか起こりえないということだ。必要なのは、アメリカと同盟国が、北朝鮮民衆に対して自分たちの生活とは違う、非常に魅力的な代替策が外の世界に存在するのを教えていくことだ。

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