アルゼンチン大統領に就任したハビエル・ミレイは、中央銀行の閉鎖や米ドルを自国通貨として採用するといった極端な公約の多くからは、すでに後退をみせている。それでも、大統領としてのミレイに立ちはだかる課題は非常に大きい。この国が何十年にもわたって陥ってきた衰退と不安定の連鎖を断ち切るには、政権奪取の際にみせた大胆さだけでなく、妥協し、不必要な争いを避け、過去の改革の試みから学ぶ姿勢が必要になるし、経験と知識ある人々を迎え入れなければならない。現実的でありつつも、毅然とし、新しい概念に開放的で、掲げた目的に確信をもっている必要がある。これまでの多くの大統領と同じように、ミレイが失敗すれば、アルゼンチンはこのような改革のチャンスには長期的に巡り会えないかもしれない。