アジア経済モデルは淘汰されたのか
1998年6月号
アジアの経済危機によって、今や「東アジア・モデル対アメリカ・モデル」の対立構図も色あせ、米モデルへの「収斂」論が優勢になっているだけでなく、経済を超えた政治・社会モデルの収斂化さえも議論されている。説明責任、透明性の面で米モデルに見劣りし、腐敗しがちなアジア型開発モデルが、危機の背景を提供したのは間違いない。だが、かといって民主主義や政治的自由の欠如が危機の深刻化を招いたとも断言できない。ひと口に民主主義といっても、そこに法の支配がなければ、優れた統治の障害となることもあり得るからだ。最終的にリベラルな民主主義をアジアが選択するとしても、それが米モデルの採用になると決めつけるのは、時期尚早である。