次なる金融危機に備えよ
1999年4月号
金融危機は今後も間違いなく起こる。この点では、ワシントンとウォールストリートの見解は一致している。問題は、危機の最悪の局面は過ぎ去ったという認識、そして処方箋をめぐる見解の不統一ゆえに、すでに憔悴しきっている危機管理者たちの今後に対する決意が揺らぎかねないことだ。たしかに、各国の規制・監視・政治システムは一様ではなく、現代の資本主義を支えるにはどのような政治・経済・社会メカニズムが必要かという点での統一見解はない。ただし、「市場マジック」に対する盲目的な思い込みゆえに、新興市場で堅固な近代的銀行制度と規制システムを構築するには何が必要かが無視されていたのは間違いない。新興市場諸国のインフラ整備、先進諸国側の金融商品への監視強化、国際的な金融機関の強化とすみ分け、政治と経済のリンケージの認識など、対処すべき課題は数多い。グローバルな金融秩序の規律を正していかない限り、危機の揺れ戻しは今後も大きいままだろう。