1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

経済・金融に関する論文

米国エコノミスト徹底討論
日米欧 経済危機のシナリオ

2000年7月号

ブルース・スタインバーグ メリルリンチ証券チーフ・エコノミスト

構造改革も道なかばの日本、労働市場の硬直化が成長を妨げるヨーロッパ、IT産業への過度の依存と中南米諸国の窮状がリスクとなるアメリカ。二〇〇〇年一月、ニューヨークに集まった著名エコノミストたちが、世界経済の未来を大胆に予測する。

ユーロ圏 財政危機の全貌

2000年7月号

ニオール・ファーガソン オックスフォード大学講師 ローレンス・J・コトリコフ ボストン大学経済学教授

ユーロ各国は深刻な財政問題を抱えている。税負担の世代間格差が、単一通貨ユーロの存続を大きく脅かしかねないのだ。しかも、財政改革を実行できる政府は今のところ見当たらない。

グローバルな金融市場統合へ
―― 欧米証券取引所の大改革

2000年6月号

ポール・アールマン 欧州証券取引所連合理事長 ブランドン・ベッカー ウィルマー・カトラー・アンド・ピカリングパートナー、米国証券取引委員会(SEC)市場規制局前局長

証券取引所における電子化と証券取引所の株式会社化という大潮流のなかで、欧米では証券取引所の大統合が起こっている。証券取引所という分野にもっとも鋭い見識を持つアールマン氏とベッカー氏の対談を通し、ヨーロッパとアメリカ双方の立場から、グローバルな金融市場の統合に向けた、法的規制の現状と課題、投資家保護の仕組みなどを明らかにする。

外交問題評議会タスクフォース・レポート
国際金融構造の将来

1999年12月号

ピーター・ピーターソン、カーラ・ヒルズ、モーリス・ゴールドシュタイン他

一九九七年にタイで始まった金融混乱によって、国際コミュニティーは危機の予防と解決に関するこれまでの制度、構造、そして政策の見直しを余儀なくされている。一九九八年九月、クリントン米大統領は、卓越した民間組織が国際金融構造改革の必要性に関する分析をまとめるべきだと提言した。これを踏まえて、外交問題評議会は、ピーター・ピーターソンとカーラ・ヒルズを共同議長とする「国際金融構造の将来」を考えるタスクフォースを組織した(ピーター・ピーターソンは外交問題評議会理事長で、ブラックストーン・グループ会長を兼務。ニクソン政権で商務長官を務めた。カーラ・ヒルズは、ヒルズ・アンド・カンパニーの最高経営責任者で、ブッシュ政権の通商代表部代表を務めた)。プロジェクト・ディレクターを務め、このリポートを執筆したのは、国際通貨基金(IMF)の前・調査副ディレクターで、現在は国際経済研究所上席研究員のモーリス・ゴールドシュタインである。タスクフォースの参加メンバーについては、文末のメンバーリストを参照されたい。以下の論文は、評議会のタスクフォース・リポートの統括である。リポートの全文と議論の少数意見は評議会のウェブ(www.cfr.org)で公開している。

金融新秩序を構築する通貨同盟

1999年9月号

ザニー・ミントン・ベドーズ  エコノミスト誌記者

二十一世紀を目前にした今、安定した世界的金融新秩序の構築こそ、緊急に取り組むべき課題である。この課題に、ベドーズはドルとユーロを中心に二大通貨圏を構築するという明快なシナリオを描く。彼は、保護主義や固定為替制度の虚実だけでなく、金融統合時代における「リージョナリズム」の実利を現実的側面から再検証する。世界の通貨市場の安定と、金融グローバル統合の実現には何が最も賢明な方策なのだろうか?

Review Essay
情報化時代に経済はついてゆけるのか

1999年7月号

ジェフリー・E・ガーテン クリントン政権前商務次官

これまでの産業技術革命のすべては、技術的な非連続性と、ブレイクスルーとなった新技術の創造の双方によって導かれてきた。新技術の誕生によって、それまでの富の創造のための手法は当然時代遅れの長物と化す。だとすれば、情報革命のまっただ中にある現在、富を創造するために国は新たに何をすべきなのだろうか。各国の経済・社会システム、そして、世界の制度は、情報化時代という第三の産業革命からうまく利益を引き出せるのだろうか。どうやらレスター・サローは、今回も悲観主義に陥っているようだ。

グローバリズムを読み解く

1999年7月号

バリー・エイケングリーン  カリフォルニア大学バークレー校・政治経済学教授

いまや市場は恐るべきスピードで変化しており、当然、毎日の経済決定を企業のCEO(最高経営責任者)がトップダウンで上から決断しているわけではないし、ましてや政府の経済政策立案者がどうにかできるものでもない。「バーチャル世界経済」を支配しているのは、インターネットというサイバースペースである。とすれば、インターネットを支配するアメリカのグローバルスタンダードへと世界は収斂していくだろうか。それとも……。

日本モデルの限界と再生への道筋

1999年7月号

マイケル・ポーター  ハーバード大学教授 竹内弘高  一橋大学大学院国際企業戦略研究科長

一般に考えられているのとは逆に、行政指導、産業政策に代表される日本の政府主導型モデルは、むしろ失敗を呼び込む処方箋のようなものであり、かつて称賛された日本企業の管理手法も危険なまでに不十分な代物にすぎない。成功を収めるために何よりも大切なのは「競争」である。日本政府は競争の強化を規制改革の目標に据えるべきだし、一方の企業も、ライバル企業を模倣するのではなく、相手と競争して生産性を向上させるという姿勢をもつべきだろう。そのためには、資本を効率的に利用して妥当な収益を上げることを求める圧力が必要である。当然、株主にはより大きな影響力が与えられるべきだし、役員の独立性を強化し、企業の決定や財務状況をより透明なものとし、コーポレートガバナンスを強化すべきである。さらに、独創的な考えやリスクを引き受ける姿勢を育んでいくためにも、間違いは罰しても成功には報いない日本のシステムを見直す必要もある。今こそ自分たちのアプローチの限界を深く理解したうえで、「自己再生をはかり、より洗練された競争へ」と自らを向かわせる時である。

途上国の苦しみはわれわれの苦しみ

1999年6月号

ジェームス・グスタフ・スペス  国連開発プログラム総裁

この相互依存世界にあっては、国際援助・協力は、公共政策の一部でなければならない。われわれの繁栄は環境から経済に至るまで、すでにグローバル化している様々な要因によって規定されだしている。当然、途上国の債務問題への寛大な対策を講じるとともに、旧西側諸国は途上諸国への投資を増やすべきである。世界の社会階層間の境界線が次第に形成されつつあることを無視し続ければ、環境の悪化、人的災害、経済成長の悪化という形で、膨大なしっぺ返しを食うことになろう。

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