CFRインタビュー
アメリカの財政赤字とドルの運命
2010年3月号

アメリカの経常赤字がかつてない規模に達しつつあるといっても、経済が回復すれば、税収基盤も拡大し、失業保険などの支出も低下し、対GDP比経常赤字は5%規模へと圧縮されていくと思う。しかし、より大きな問題は、2015年以降に、社会保障、医療保険(メディケアー、メディケイド)の負担増でアメリカの経常赤字が再び増大していくと考えられることだ。問題は、「医療と社会保障コストの問題に取り組まなければ、米国債の格付けが引き下げられ、高金利によって経済成長が抑え込まれてしまう」というぎりぎりの状況に直面しなければ、政治的決断をするのが難しいかもしれないことだ。この段階まで状況を放置すれば、外国の投資家は、ドルを保有し続けるのをそれほどいい選択肢だとは思わなくなるだろう。