インド経済が急成長を遂げているのは、規制緩和によって民間部門が成長できるようになり、政府の介入を減らすとともに、外資を受け入れたからだ。1980年代における規制緩和を経て90年代に資本の自由化を行ったことで、われわれは6%強の経済成長を実現した。そして、90年代末までには、経済をめぐる官民のパートナーシップ、新しい経済体制の制度化が進み、政策決定者も経済全般への認識を新たにし、年8%の持続的経済成長への布石が打たれた。今後の課題は、非農業部門での成功を追い風にして、農業部門を改革することだ。これが、インドの経済、政治、社会的な安定を持続させるための最大の試金石、ナンバーワンの課題だ。次に教育・医療・公衆衛生への投資と一方での財政赤字の削減、そしてインフラ整備が必要だ。また、その名に値するような保険制度を最近まで持っていなかったことからみても、保険部門を整備することも重要だ。これは、外資の専門知識とインド国内の必要性がうまく重なり合う領域だろう。