色あせた対米投資の魅力
―― 流れはポストアメリカのグローバル経済へ
2018年9月号
対米投資が大きく減少している。米企業を含む多国籍企業による2018年の対米純投資はほぼゼロに落ち込んでいる。これは、長期におよぶビジネスコミットメントをする対象としてのアメリカの魅力が全般的に低下していること、つまり、すでに流れがポストアメリカのグローバル経済へ向かっていることを意味する。さらに、法人減税、他の地域よりも力強い経済成長という投資を促す環境が存在し、しかもワシントンが、米企業が外国へ投資するのを抑える公式・非公式のハードルを作り出しているにもかかわらず、今後、米多国籍企業による外国への投資が増えていくとすれば、これも世界がアメリカ抜きのグローバルシステムに向かいつつあることを示す明確なシグナルとみなせるはずだ。グローバル化を嫌悪するトランプのアプローチによって、多くの人々が考える以上の早いペースで世界経済はポストアメリカの時代に向かいつつある。