グローバル金融を蝕むタックスヘイブン
―― 犯罪と格差の象徴を粉砕するには
How to Crack Down on Tax Havens: Start With the Banks
2018年6月号掲載論文
犯罪組織や途上国の独裁者だけでなく、超富裕層も多国籍企業も「自分にとって好ましくないルールを回避するために」資金や資産を「オフショア」と呼ばれる「他のどこか」に移動させている。好ましくないルールとは「税法、情報開示請求、刑法、あるいは金融規制」だ。「他のどこか」であるオフショアでの取引はエキゾチックなどこかではなく、世界経済の中枢近くで行われている。タックスヘイブンは租税回避を容易にし、法の支配を弱め、組織犯罪の温床を作り出す。格差をさらに拡大させてポピュリストの反動を助長し、市場経済を腐敗させる。すでにパナマ文書とパラダイス文書によって、「オフショアシステムはグローバル経済のガンである」ことが明らかにされている。強大な力で保護されているこの世界最大の利権構造に切り込むのは容易ではない。犯罪と格差に対する民衆の怒りを動員する政治家の政治的意思が必要になる。
- 「大きすぎてつぶせず、処罰できない」
- 租税回避地の実態
- 先進諸国のタックスヘイブン
- 必ずしも合法的ではない
- 対策はあるか
- トランプの対策
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