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アメリカのTPP批准はほぼあり得ない
―― 何をどこで間違えたのか

リチャード・カッツ オリエンタル・エコノミスト・レポート エディター

Trading down

Richard Katz アメリカの経済ジャーナリストで、日米関係、日本経済に関する多くの著作をもつ。オリエンタル・エコノミスト・レポート誌代表。東洋経済誌に定期的にコラムを執筆している。

2016年11月号掲載論文

米議会がTPPに批准するかどうか、かなり難しい情勢にある。2人の大統領候補たちも、TPPに反対すると明言している。議会共和党の指導者も11月8日の大統領選挙から12月16日までのレームダックセッションでTPP条約案の採決はしないとすでに表明している。オバマ大統領は、彼らを説得することへの自信を示しているが、そうできるとは考えにくい。TPPが2016年に批准されなければ、誰が大統領に選ばれようと、2017年以降に批准される見込みはさらに遠のく。なぜこんなことになったのか。ワシントンの利益団体の抵抗も、合意の欠陥も、「貿易は雇用を輸出し、失業を増やす」と市民が反発していることもその要因だ。それぞれTPPに反対する国内の利益団体を抱えつつも、それを克服して合意をまとめたアメリカの貿易パートナーたちが、大きな怒りを感じているとしても無理はない状況にある。・・・

  • 遠ざかるTPP
  • 利益団体とTPP
  • 毒にも薬にもならない
  • 汚されたアメリカのイメージ
  • 複雑な取引

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