ベン・ステイル、セバスチャン・マラビーが 分析する米金融市場混乱の余波
The Financial Turmoil and its Consequence
2008年10月号掲載論文
連邦準備制度理事会(FRB)が不良債権の多くを救済するようになり、FRBのバランスシートがさらに毀損されていけば、市場は警戒しだす。FRBが、金融機関、あるいは金融機関の資産の一部を、資金を投入して支えことで市場を安心させようと試みれば、大がかりなドル離れが起き、他の通貨建ての投資へと向かう可能性がある。例えば、ユーロ建ての資産や金への投資が進むだろう。(B・ステイル)
人民元レートを低く抑えることで、輸出産業のブームを支えて、「雇用製造装置」を動かし、繁栄を持続することが、中国政府の正統性を支える最善の方法だと北京は考えてきた。だが一方で、人為的に人民元の価値を長期的に低くとどめれば、経常黒字は増え続け、さらに膨大な外貨準備を抱え、結果的に、資金をアメリカに注ぎ込むことになる。だが、これは中国にとっていいことだろうか。依然として貧しく、道路を建設し、インフラを整備する必要があるにもかかわらず、中国の多くの資金がアメリカのドル建て資産へと向かっている。……これまでのやり方に対する反対意見も出てきている。(S・マラビー)
- ニューヨークはグローバル金融市場の中枢としての地位を失うのか
- ドルとFRBの機能劣化の危険
- 金融工学とレバレッジ
- アメリカの金融混乱と途上国経済
- ドル離れ?
- 政府系住宅金融機関救済の真の目的
- アメリカと中国のジレンマ
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