中東における全面戦争のリスク
―― 何が起きても不思議はない
The Unwanted Wars Why the Middle East Is More Combustible Than Ever?
2020年1月号掲載論文
中東のいかなる地域における衝突も中東全体を紛争に巻き込む引き金になる恐れがある。一つの危機をどうにか封じ込めても、それが無駄な努力になる危険が高まっているのはこのためだ。しかも、国家構造が弱く、非国家アクターが大きな力をもち、数多くの大きな変化が同時多発的に進行している。イスラエルと敵対勢力、イランとサウジ、そしてスンニ派の内部分裂が存在し、これらが交差するだけでなく、ローカルな対立と絡み合っている。「サウジに味方をすることは、(イエメンの)フーシに反対するということであり、それはイランを敵に回すことを意味する」。こうしたリンケージが入り乱れている。ワシントンが中東から撤退するという戦略的選択をしようがしまいが、結局、アメリカはほぼ確実に紛争に巻き込まれていく。
- 衝突の国際紛争化
- 対立の地域的、国際的連鎖
- 傀儡と独立プレイヤーの間
- 多層的脅威
- 二つの事例
- 漂流するワシントン
- 今何が問われているか
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