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粉砕されたクルド人の夢
―― エルドアンとトランプの誤算

アンリ・J・バーキー リーハイ大学教授(国際関係論)

Dashing Kurdish Hopes Will Not Bring Erdogan Peace Sanctions, Insurgency, and a Cold Shoulder Await

Henri J. Berkey リーハイ大学教授(国際関係論)。フォーリン・アフェアーズでは、「動き出したクルド統一国家への流れ―― クルドの覚醒と中東の未来」(2019年4月)を発表している。

2019年12月号 掲載論文

トランプは(米軍のシリアからの撤退という)クルド人に対する裏切り行為への米社会の反発を過小評価し、エルドアンは、トルコの残忍な侵攻作戦に対する国際社会の反発を軽くみていたようだ。アメリカの議会、軍、官僚、メディアは「(イスラム国との戦いの中枢を担った)同盟勢力であるシリアのクルド人をなぜあっさりと見限ったのか」と困惑した。しかも、クルド人が支配してきた地域に収容されている1万2000人のイスラム国戦闘員と4万人の家族が収容施設から外へ出る恐れもある。カリフ国家を打倒するという数年に及んだ困難な試みの成果を、(米軍を撤退させ、トルコのシリア侵攻を認めたことで)トランプはあっさりと台無しにしたのかもしれない。いまやトルコと欧米の関係だけでなく、トルコの国内政治も、トルコと中東におけるクルド人との関係も不安定化している。

  • クルド人にとっての悪夢
  • トランプとエルドアン
  • 共通の敵

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