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北極圏開発ブームに備えよ

スコット・G・ボルガーソン / 北極圏サークル共同設立者

The Coming Arctic Boom

Scott G. Borgerson 米沿岸警備隊少佐、士官学校のリーダーシップ研究所ディレクター、米外交問題評議会(CFR)の国際関係フェローを経て、現在は、グローバル海洋研究インスティチュート(IGMS)のディレクター。政治家、ビジネスリーダー、先住民代表、NGO、環境保護派、科学者、専門家、学生、メディアなどに議論と交流の機会を提供する北極圏サークル(Arctic Circle)の共同設立者。フォーリン・アフェアーズ誌に「北極の海氷後退と資源争奪競争 ―― 地球温暖化の経済・安全保障的意味合い」(フォーリン・アフェアーズ・リポート2008年3月号掲載、2013年6月号再掲)を発表している。

2013年7月号掲載論文

夏場の北極圏から氷がなくなるのはいつなのか。その時期は2075年とも2035年とも、あるいは2020年とさえ言われる。これが現実となった段階で北極圏のエコシステムは劇的に変化する。だが、悪いことばかりではない。氷が溶け出すにつれて、世界の石油と天然ガス未確認資源の4分の1と膨大な鉱物資源を含む、北極圏の豊かな資源へのアクセスが開かれつつある。夏場に誕生する北極海の航路によって太平洋と大西洋間の距離は数千マイル短くなり、いずれ北極海がグローバルな海洋ルートの拠点になるポテンシャルも生まれている。さらに、北極海周辺諸国はこれまでのライバル競争をやめて、協調するようになった。アンカレッジやレイキャビクのような都市はいずれ主要な海洋輸送の拠点、金融センターとして、高緯度におけるシンガポールとドバイのような役割を果たすようになるかもしれない。最大の試金石は、環境と開発のバランスをいかにうまくとるかにある。

  • 地球温暖化と新北極圏の誕生 部分公開
  • なぜ周辺国は和解と協調を求めたか
  • 北極圏のポテンシャル
  • なぜ北極圏は投資に適しているか
  • 北極圏をめぐる各国の立場
  • 出遅れたアメリカ
  • 新しい開発を

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