米財団の足跡と新しい任務
―― 多極化した世界とフォード財団のミッション
Old Money, New Order: American Philanthropies and the Defense of Liberal Democracy
2019年3月号掲載論文
アメリカの財団は多くの成果を収めつつも、冷戦という環境下、欧米の思想や制度を重視するあまり、途上国の成長と安定を公正に支援できなかった部分もある。そして、いまや世界は多極化し、財団も多種多彩になっている。カーネギー、フォード、ロックフェラーなどの米ファミリー系財団が独占してきた助成活動も、21世紀に入ってブルームバーグ、ゲイツ、ソロスが設立した欧米財団だけでなく、インドのアンバニ、ナイジェリアのダンゴート、中国のマー、メキシコのスリムなどの大富豪が設立した世界の財団と共有していくことになるだろう。米財団だけでは世界の切実な問題に対応できない以上、これは希望がもてる展開だろう。アメリカの財団は他国の財団による慈善事業の拡大を支援する方法を特定し、世界の新しい富のポテンシャルを解き放つ必要がある。
- 財団の国際的貢献と弊害
- フォード財団の歴史
- 冷戦と政府と米財団
- 政治的変化と活動の見直し
- 多極化した世界
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