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「われわれと彼ら」の生物学
―― ナショナリズムの脳メカニズム

ロバート・サポルスキー スタンフォード大学教授 (生物学、神経外科学、神経学、神経科学)

This Is Your Brain on Nationalism: The Biology of Us and Them

Robert Sapolsky アメリカの神経内分泌学者で、スタンフォード大学教授(生物学、神経外科学、神経学、神経科学)。著書にBehave: The Biology of Humans ay Our Best and Worstがある。

2019年3月号掲載論文

人間の脳は、帰属する集団メンバーとアウトサイダーを瞬時に区別して、メンバーには親切に、アウトサイダーには敵対的に接するように仕向ける。集団への帰属に関する限り、人類はウガンダの森で殺し合いをしているチンパンジーと大差ない。だが、最初のネガティブな感情を克服した後の二次的な修正的段階で、他者への攻撃性を抑えるようになり、今日の「彼ら」が明日には「われわれの一部」になることもある。しかし、これは大した慰めにはならない。人が自分の忠誠を国家、肌の色、髪、スポーツチームに求めるのが、硬貨の裏表で勝敗を決めるやり方のように「偶発性」に左右されることを頭で理解しても、集団意識を形作る心理的ベースは変化しないからだ。心のなかで、新しいチームメートが翌日には再び敵になってしまうこともある。

  • 人とチンパンジーの違い
  • 集団への帰属意識
  • 誰をアウトサイダーとみなすか
  • ナショナリズムを利用する?

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