中東に迫り来る巨大な嵐
―― 石油依存型政治システムの崩壊
The Next Arab Uprising
The Collapse of Authoritarianism in the Middle East
2018年12月号掲載論文
サウジアラビアのような中東の産油国は原油輸出を歳入源とし、エジプトやヨルダンのような石油輸入国は石油の富をもつ地域諸国からの援助に多くを依存してきた。中東諸国は、石油の富を安定した雇用、教育、医療に充当し、政治指導者はその見返りに民衆の政治的服従と沈黙を手に入れた。しかし、原油の低価格化トレンドゆえに、これまで政府に政治的正統性を授けてきた資源が消失しつつあり、この社会契約はもはや持続できない。この大きな流れの変化を前にしても、指導者たちが、権力の掌握を強めるだけで、有意義な改革を実施しなければ、中東各国で、かつてない規模の社会騒乱が起きることになる。
- レンティアモデルの崩壊
- 破綻した社会契約
- 二つの衝撃
- サウジの苦悩
- ヨルダンの窮状
- 新しい社会契約に向けて
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