外交的経済パワー乱用の果てに
―― 米単独行動主義で揺らぐ同盟関係
The Use and Misuse of Economic Statecraft
How Washington Is Abusing Its Financial Might
2018年11月号掲載論文
経済制裁が機能するのは、制裁対象国が行動を変えることで、(制裁を緩和・解除させ)経済的窮状を切り抜けられると確信した場合だけだ。アメリカの要求を受け入れ、合意を順守しているにもかかわらず、解除された制裁の再発動という事態に直面するのなら、合意を順守しようとするインセンティブはなくなる。それだけでない。トランプ政権の関税引き上げ策や対イラン制裁に象徴される単独行動主義は、同盟関係を揺るがし始めている。仏独英などのワシントンの緊密な同盟諸国は、イラン政府と直接接触して、アメリカの制裁を回避し、核合意を維持していくために、ドルを基盤とする金融システムから決済を迂回させる方法を特定しようと試みている。仮に他の諸国が連帯してアメリカの制裁を拒絶するようになれば、ワシントンはすべての国に制裁を課すか、制裁を断念するかしかなくなる。・・・
- パワーへの過信と奢り
- 慎重さが求められる理由
- アメリカの2次制裁と欧州の反発
- 国際金融機関の価値
- トランプの暴走
- 単独行動主義の帰結
- 路線の見直しを
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