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統合で内破するヨーロッパ
―― ヨーロッパ統合とメンバー国の分裂

エドアルド・カンパネッラ 金融エコノミスト

Europe, fracturing from within ―― Why Integration makes secession more appealing

Edoardo Campanella ウニクレディト銀行ユーロ圏エコノミスト。フィナンシャル・タイムズとマッキンゼーが選ぶ2015年のブラッケン・バウアー賞の最終選考作品の著者。

2017年2月号掲載論文

ヨーロッパ・プロジェクトの設計者たちは、単一市場を立ち上げて、共通通貨を導入し、アイデンティティを共有すれば、メンバー国の国家主権をトップダウンで弱めていけると考えていた。しかし、経済統合プロセスが、地域的なアイデンティティをかつてない形で刺激し、メンバー国の国家主権をボトムアップで脅かすようになるとは予想もしていなかった。現実には、このメカニズムによって、「ヨーロッパが統合を深めれば深めるほど、より多くのメンバー国が分裂しかねない」状況にある。統合やグローバル化から恩恵を手にできる国内地域とそうでない地域の格差を広げ、緊張をさらに高めてしまうからだ。国家分裂によって、主権をもつヨーロッパの主体が拡散していけば、EUはその調整コストのために膨大なコスト負担を強いられ、金融投資家はパニックに陥り、出口へと殺到する。ヨーロッパが分離独立をめぐる危険な先例を作り出さないように、より啓蒙的な方法を見出すべき理由はここにある。

  • 統合と分裂
  • 分離独立と経済停滞
  • 統合と分裂の連鎖
  • 分離独立のバランスシート

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