Anton Balazh/shutterstock.com

中国のスペース・オデッセイ
――衛星破壊実験と北京の政策決定

ベーツ・ジル 戦略国際問題研究所(CSIS)中国研究員
マーチン・クレイバー CSISリサーチ・アナリスト

China's Space Odyssey

Bates Gill ブルッキングス研究所シニア・フェロー、同研究所の北東アジア政策研究センター所長を経て、2002年に戦略国際問題研究所(CSIS)の中国研究員に。著書に"Rising Star: China's New Security Diplomacy"など。
Martin Kleiber CSISのリサーチ・アナリスト。2006年には中国軍の近代化と軍事力の強化、アジア地域における軍事バランスに関するCSISの報告をまとめている。

2007年6月号掲載論文

「平和的台頭」を心がけて「責任ある行動をとり」、「調和のとれた世界」を模索する国家としてイメージ創りにあれだけ腐心してきた北京が、なぜ衛星攻撃兵器(ASAT)実験という挑発的行動に出たのか。その意図については、アメリカの宇宙空間での軍事的優位を牽制するため、あるいは、宇宙空間への兵器配備禁止の誘い水とするためなど、さまざまな憶測が流れている。だが、実際には、中国の外交・安全保障担当省庁と協議せずに、人民解放軍が独断で実験を強行した可能性が高い。とすれば、中国の軍事的意図、現在宇宙空間の軌道を漂泊している破片や残骸という問題を別にしても、ASAT実験は、より厄介な問題を浮上させていることになる。それは、政策決定プロセスが不透明な中国を信頼できるパートナーとみなせるかどうかという戦略問題にほかならない。

  • なぜ実験に踏み切ったのか
  • 中国外務省は実験を知らなかった?
  • 実験が残した物資的、外交的残骸
  • 中国が真のパートナーとみなされるには

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