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2011年10月号 中国をどの側面から分析すべきなのか

2011-10-04

中国をどの側面から分析すべきなのか
2011.10 .4公開

中国は2030年に経済的にアメリカを追い抜き、経済覇権を手にすることになる。いや、中国経済がこれまでのような成長を遂げることはない。むしろ、劇的な成長も衰退もなく、成長率はスローダウンし、中国は現在の世界経済における地位を維持していく程度に終わる。

前者は経済学者のA・サブラマニアンの意見、後者は社会学者S・バボネスの意見だ。どちらの議論も合理性はある。ポイントは、おもに「経済的分析」を重視するのか、それとも「社会学的分析」を重視するかで結論が大きく違ってきていることだ。

もちろん、政治的にみれば、また別の分析が出てくるはずだ。経済成長が鈍化すれば、人々の不満はたかまり、北京の政治的正統性は大きく損なわれ、中国は社会的に大きな混乱に陥る。だからこそ北京はなんとしても高成長路線を維持していくことを「政治的優先課題にしている」と長く言われてきた。

さらに、特定国の成長予測を考える上で、グローバル経済がどのような状況にあるかという「外的要因」にも配慮する必要がある。例えば、米欧経済、特にアメリカ経済がこのまま低成長から抜け出せなければ、グローバル経済の総需要が低下するわけで、依然として輸出主導型の中国経済が減速するのは避けられなくなる。この場合、これまでの経済パフォーマンスよりも、政治・社会要因を重視した分析が必要になるだろう。

経済、社会、政治、歴史のどの領域を重視し、どのようなバランスで問題の全体像を描くかは、専門が何であるかよりも、分析者が現状をどう認識しているか、どういう分析スタイルを好むかに左右され始めている。サブラマニンは経済と歴史を、バポネスは社会学と経済を用いて中国を分析している。もちろん、どちらの議論により説得力があると思うかも、読み手の現状認識と問題意識に左右されるだろう。

最近、フォーリン・アフェアーズ・リポートで紹介した領域を超えた分析としては、
N・N・タレブとマーク・ブリスがまとめた「ブラックスワンの政治経済学」(2011年7月号)、
M・ブリスの「欧米の自爆装置と化したグローバル金融システム」(2011年9月号)、
N・ルービニとI・ブレマーの「金融危機が出現させたGゼロの世界」(2011年3月号)、そして
N・ファーガソンの「複雑系の崩壊は突然、急速に起きる」(2010年4月号)
などがある。(FAJ編集部)

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