終末期を迎えた資本主義?
―― もはや民主政治では資本主義を制御できない
Capitalism in Crisis
2016年8月号掲載論文
資本主義と民主主義の緊張と妥協が相互に作用することで、これまで政治と経済のバランスが形作られてきた。民主体制のなかで、労働保護法や金融規制の導入、社会保障制度の拡大が実現することで、市場の猛威は緩和されてきた。こうして労働者は労働搾取を試みる資本家を抑え込み、企業は労働者の生産性を高めるための投資を重視するようになった。これが戦後における成長のストーリーだった。しかし「いまや政府は戦後の税金を前提とする国家から、債務を前提とする国家へと変貌している」。この変化は非常に大きな政治的帰結を伴った。政府債務の増大によって、国際資本が、各国の市民の望みを潰してでも、自分たちの意向を各国政府に強要する影響力をもつようになったからだ。格差が拡大し、賃金が停滞する一方で、政府は、資金力豊かな金融機関が問題の兆候を示しただけで救済の対象にするようになった。こうして市民たちは、いわゆる調整コストを運命として受け入れるのを次第に嫌がるようになった。・・・
- 資本主義と民主政治のバランス
- 資本主義の誕生と進化
- 資本主義と民主政治のバランス
- 金融資本主義はなぜ生まれたか
- カレツキの予測
- ネオリベラリズムの時代へ
- 破綻したネオリベラリズム
- 資本主義の終わり
- 終末論的環境破壊?
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