世界環境も秩序も混乱のなかでほころびをみせ始めている。民主主義が後退し、権威主義が手堅い台頭を遂げ、米中は冷戦へ向かいつつある。こうした伝統的脅威の一方で、トランスナショナルな新脅威の衝撃がますます大きくなっている。温暖化が進んで異常気象として具体化する一方で、パンデミックも依然として収束しそうな気配はない。一方、経済が景気サイクルやイノベーションだけでなく、データ量の大きさに左右され始めている。実際、権威主義と民主主義、米中冷戦が秩序を変える流れが、データ経済の流れ、気候変動やパンデミックの地政学が作り出す流れと絡み合いをみせるようになると考えられている。次に問われるのは、崩れゆく秩序から新しい体制、社会システム、社会契約が創造的に形作られるのがいつになるかだ。
第一章 多極化する世界と国家モデル
・追い込まれた民主主義
―― 台頭する権威主義、後退する民主国家
ヤシャ・モンク
・権威主義へ傾斜する国際システム
―― 追い込まれたリベラルな秩序
アレクサンダー・クーリー、ダニエル・H・ネクソン
第二章 米中の内政と衝突
・中国が望む世界
―― そのパワーと野心を検証する
ラナ・ミッター
・分裂した世界とグローバルな脅威
―― パンデミック・気候変動と大国間競争
トーマス・ライト
第三章 パンデミックはなぜ終わらないか
・新型コロナの不都合な真実
―― 永続化するウイルスとの闘い
イアン・リプキン他
・変異株とグローバルな集団免疫
―― 終わらないパンデミック
マイケル・T・オスタホルム、マーク・オルシェイカー
・パンデミック対策組織がなぜ必要か
―― パンデミックファンドの創設を
アンドリュー・C・ハインリッヒ、サード・B・オマー
第四章 地球温暖化と異常気象を考える
・気候変動と生物多様性の二重危機
―― 「プラネタリー政治」の必要性
スチュワート・M・パトリック
・異常気象への適応戦略を
―― もはや排出量削減だけでは対処できない
アリス・ヒル
第五章 データとテクノロジーが経済を導く
・データ量が経済とイノベーションを左右する
―― データアクセスとプライバシーの間
マシュー・スローター、デビッド・マコーミック
・生産性向上と繁栄の新時代へ
―― パンデミック後の経済ポテンシャル
ジェームズ・マニュイカ、マイケル・スペンス
※ 2021年に掲載された論文の中から、注目度の高い論文を厳選しました。
※ 定期購読会員の方には10%の割引を行っております。注文前に弊社HPにてログインを行っていただきますとご購読者様専用の購入ページが表示されます。
※ 新規購読キャンペーンページをご覧ください。