パンデミックがすでに崩れ始めていた秩序、制度、規範を一気に突き崩しつつある。今後、社会・経済制度だけでなく、貿易や国際システムもおそらくは劇的に変化し、米中ライバル関係がこの複雑な環境のなかで相互作用をみせつつ、展開していく。大国間競争の一方で、気候変動が異常気象として各国に襲いかかり、しかも、AIの進化によって、権威主義体制はデジタル独裁国家へ向かい、資本主義体制も監視資本主義へと向かっていくのかもしれない。2021年はポストニューノーマルへの過渡期になるのか、それとも、一気にカオスへと向かっていくのか。
第一章 資本主義後の経済システム
・資本主義の衝突
―― 「民衆の資本主義」か「金権エリート資本主義」か
ブランコ・ミラノヴィッチ
・ネオリベラリズムの崩壊と新社会契約
―― 社会民主主義では十分ではない
ミアタ・ファーンブレー
・ベーシックインカムの台頭
―― パンデミックが呼び起こした構想
エブリン・L・フォーゲット
第二章 コロナウイルスが経済と社会を変える
・迫り来るパンデミック恐慌
―― 1930年代が再現されるのか
カーマン・ラインハート、ビンセント・ラインハート
・「マジックマネー」の時代
―― 終わりなき歳出で経済崩壊を阻止できるのか
セバスチャン・マラビー
・大都市は消滅するのか
―― 適度な密度と過密を区別せよ
ジェニファー・キースマート
第三章 米中衝突は回避できるか
・コロナウイルスと陰謀論
―― 感染症危機と米中対立
ヤンゾン・ファン
・コロナウイルスと米中の覇権
―― パンデミックと中国の野心
カート・M・キャンベル、ラッシュ・ドーシ
・外交的自制をかなぐり捨てた中国
―― 覇権の時を待つ北京
カート・M・キャンベル、ミラ・ラップ=フーパー
第四章 気候変動と大災害の時代
・温暖化で世界は大混乱に
―― ティッピング・ポイントが引き起こす連鎖
マイケル・オッペンハイマー
・温暖化への適応か国の消滅か
―― 気候変動が引き起こす大災害の衝撃に備えよ
アリス・ヒル、レオナルド・マルティネス=ディアス
第五章 変貌した世界と秩序
・新しい勢力圏と大国間競争
―― 同盟関係の再編と中ロとの関係
グレアム・アリソン
・デジタル独裁国家の夜明け
―― 民主化ではなく、独裁制を支えるテクノロジー
アンドレア・ケンドル=テイラー、エリカ・フランツ
ジョセフ・ライト
・監視資本主義と暗黒の未来
―― ビッグテックとサーベイランスビジネス
ポール・スター
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