Focal Points

HJBC / Shutterstock.com

2024.7.11 Thu

ヨーロッパの社会分裂
―― 格差、移民、多文化主義

農村住民は、政策立案はトップダウンで「政府は自分たちのニーズを認識していない」と不満を強めている。この10年で農村と都市部の所得・雇用格差が拡大したこと、さらには、食料品や燃料など多くの必需品価格を上昇させている最近の生活コスト危機も農村部の不満を助長している。これがヨーロッパ各国の社会的結束を弱め、極右ポピュリズムが支持される肥沃な土壌を提供している。(ハイランド、マスケリーニ、ラモン)

理想的な政策は「多文化主義の多様性を受容する側面と、同化主義の誰でも市民として扱う側面を結合させることだろう」。だが、ヨーロッパ諸国はその正反対のことをやってきた。多文化主義と称してコミュニティをそれぞれの箱に閉じ込めるか、同化主義と称してマイノリティを主流派から疎外してきた。(マリク)

本当の問題は、欧米の民族的多数派である白人が、移民流入による大きな社会的変化を前に、国と自分たちの共同体のつながりが希薄化していると感じ、割り切れぬ思いを抱いていることにある。移民を受け入れる国家の建設を目指し、民族的多数派の立場を控えたがゆえに、皮肉にも、保守派にとって多数派の民族的アイデンティティがより重要になった。(カウフマン)

論文データベース

カスタマーサービス

平日10:00〜17:00

  • FAX03-5815-7153
  • general@foreignaffairsj.co.jp

Page Top