2024.1.8 Mon
<1月号プレビュー>
紛争後のガザ、トランプ現象とアメリカの政治文化、外交判断とリアリズム
ハマスの軍事能力とガザの統治体制を破壊するという目標だけでなく、イスラエルは、ガザを再占領し、ガザ住民を直接統治することにも行き詰まるだろう。結局、国連その他の人道支援機関が基本的なアメニティーを提供し、ほとんどのガザ住民が避難生活を続けることになると考えられる。ハマスの粉砕を最優先課題としているために、イスラエルは、もっとも必要で価値あるもの、つまり、安全な環境、治安をいかに取り戻すかという目的を見失っている。イスラエルが2国家解決策を拒否しているために、イスラエルとパレスチナの双方が納得できる交渉による解決を達成するのを阻む、ほぼ克服できない課題が存在する。(ヒルターマン)
トランプ現象は、アメリカの歴史・文化における三つの潮流が合流したものとして理解するのが適切だろう。反移民の社会文化やポピュリストの伝統、そして財界の裕福なパフォーマーを待望する伝統だ。つまり、トランプの魅力も、彼の出馬が国内外で引き起こす恐怖も、アメリカの政治文化の奥底に流れる衝動から生じている。トランプが表舞台を去った後も、大げさな演説の才があり、守るべき政治的実績のない、裕福なパフォーマーが同じような役目を担うことになるのかもしれない。(カジン)
リアリストが考えるように、国の外交決定の多くは合理的なのだろうか。指導者にとって合理的なことが、なぜ国にとっても合理的とみなせるのか。指導者の判断は、感情や心理、歴史にも大きな影響を受けるのではないか。実際には、選択によって問われているものが大きいからこそ、大国とその気まぐれな指導者は計算を誤ったり、不合理で神経質な行動をとったりするのではないか。ワシントンは、北京にどう対処すべきか考えるとき、この事実を忘れるべきではない。(ヤルヒ=マイロ)