2023.9.9 Sat
<9月号プレビュー>
欧米の所得二極化と社会混乱、民主国家インドという幻想、準備通貨ドルの運命
産業革命から20世紀半ばまでは、世界の富は欧米先進国に集中した。このために世界的な不平等が拡大し、冷戦期にそれはピークに達した。その後、中国の経済的台頭のおかげもあって、世界レベルでの格差は低下し始めたが、いまや世界的な平等の進展はもはや必然ではなくなっている。(ミラノヴィッチ)
インドはアメリカと利益は共有しても、価値は共有していない。いまや、この国は異論をほとんど許容しない民族主義者によって統治されている。インドは「非自由主義的で非民主的な政党」に支配され、その政党の政治力は高まる一方だ。(マーキー)
ドル覇権に付随する「法外な特権」もいまやそれほど「法外」ではなさそうだ。ドル需要の高さ故に低利で資金を迅速に入手できるとしても、ドル価値が高く評価されると、アメリカへの輸入品は安くなり、輸出品は高くなる。こうして、国内の製造業は傷つき、失業も増えるために、もはやドル覇権を放棄すべきだと主張するアナリストもいる。(シリプラプ、バーマン)