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2023.8.1 Tue
クーデター後のミャンマー
――破綻国家から大国間競争の最前線へ
アメリカと同盟諸国は、ミャンマーの民主化勢力への支持を表明しているが、地政学的な考慮から、軍事政権に対して強硬路線をとることは控えている。北京は軍事独裁政権に当初は様子見を決め込んでいたが、いまや構図は変化しつつある。反政府派をアメリカの手先と誤解した中国は、軍事政権を支える決意を固めつつある。内戦は、大国のライバルたちによる外部からの干渉を招き入れつつある。米中はともに、行動を起こさなければ相手を利することになると懸念し、いわば、紛争の「冷戦化」が進みつつある。実際には米中も東南アジア諸国連合(ASEAN)も地域の不安定は望んでいない。(ヘイン、マイヤース)
軍隊と民衆間の分裂を修復するのはもはや不可能だと多くの人はみている。中国、インド、タイ、その他の周辺諸国は、移民や難民の受け入れを求める圧力にさらされ、ミャンマーとの国境地帯が無法化し、暴力と絶望が社会に蔓延する事態に備えざるを得なくなるだろう。ミャンマーが経験しているのはいつもながらの民主主義からの後退ではない。いまやアジアの重要地域で破綻国家がゆっくりと誕生しつつある。(ミッチェル)
こう着状態が長期化するにつれて、ミャンマー経済は崩壊へ向かい、貧困化する人が急増している。課題は国家的破綻の期間を短くし、弱者を守り、新しい国家を作り、より自由・公平で豊かな社会の建設を始めることだ。今後、平和なミャンマーが出現するとすれば、民族ナショナリズムのストーリーに支配されない、新しい国家アイデンティティが共有され、改革を経た政治経済体制が根付いた場合だけだろう。2月のクーデターだけでは危機を説明できない。現状は数十年にわたって国家破綻プロセスが続き、国家建設に失敗し、あまりに長期にわたってあまりに多くの人にとって社会と経済が不公正だったことによって引き起こされている。(タンミンウー)