Focal Points

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2022.9.26 Mon

<10月号プレビュー>
チンギス秩序とは
――国際関係はいつ動き出したのか

1648年のウェストファリア条約によって、国際関係が動き出したとみることもできる。このヨーロッパ中心主義の歴史観が、国際関係の専門家の世界観を依然として形づくっている。だが「チンギス秩序」をウェストファリア秩序に並ぶ重要性をもつとみなす考えもある。チンギス秩序の歴史は、17世紀から現在まで続くウェストファリア秩序よりも長く、500年近く続いた。チンギス秩序を含む、これら過去の皇帝たちが実践した外交スタイルに注目すると、ウェストファリア秩序一辺倒の考え方にする重要なバランスがもたらされる。(ハンセン)

中東ではシリア内戦によって数十万人が犠牲になり、いまやジハード主義勢力が中東全域を脅かしている。アジアでも、経済的台頭を遂げた中国が強硬路線をとるようになり、近隣諸国はこの動きを警戒している。ルールを重んじ、もっとも制度化が進んでいるヨーロッパのリベラルな規範も、プーチン大統領が軍事的侵略をロシアの国策として復活させたことで、大きな圧力に晒されている。一方、これまでにグローバル秩序の擁護者の役割を果たしてきた欧米、特にアメリカがその役割を果たすことを躊躇っている。キッシンジャーなら、この現状をどう考えるだろうか。(イッシンガー)

習近平の「中華民族の偉大な復興」というスローガンは中国民衆の共鳴を呼んだ。これは「屈辱の世紀」に耐えた中国を「正しい地位」に復帰させ、国際秩序の中心を超えたその上に位置づけるというストーリーだ。しかし、朝貢外交の時代を下敷きにするこの歴史認識は正しいとは言えない。現実には、周辺国は中国を怒らせずにわが道を行くために、さまざまな口実を駆使し、場合によっては真っ向から中国の意向を無視してきた。正確でない歴史認識を基に未来を語る中国に、われわれはどう対処していけばよいのか。(エコノミー)

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