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2022.9.2 Fri
プーチンとロシアの未来
―― 勢力圏の確立とポスト冷戦秩序の解体
ソビエト崩壊の代替シナリオは存在しなかったと考えるのは決定論者だけだろう。ソビエト同様に、弱体化したロシアが崩壊すると欧米が予測するのも決定論にすぎない。制裁を長期化し、その内容をさらに厳格化してゆけば、欧米の反ロシア経済レジームに世界経済の他のアクターも参加し、制度化されていくだろう。それでも、弱体化したロシアがソビエトのような崩壊の時を迎えるとは考えにくい。むしろ、欧米は「弱体化し、屈辱にまみれながらも、それでも独裁的なロシア」と共存せざるを得ないシナリオに備えるべきだろう。(ズボク)
「欧米は30年にわたってロシアの正統な利益を無視してきた」。この確信がプーチンの行動を規定している。要するに、ロシアのことを、近隣地域に特別な権利をもち、あらゆる重大な国際問題について発言権をもつ、尊敬し、畏怖すべき大国として接するようにさせることが大きな狙いだ。プーチン・ドクトリンは、世界の権威主義政権を擁護し、民主主義国家を弱体化させることも意図している。ソビエト崩壊という結末を覆し、大西洋同盟を分裂させ、冷戦を終結させた地理的解決策を再交渉すること。これがプーチンの包括的な目的だ。(ステント)
プーチンは、ロシア軍の戦闘能力を過大評価する一方でウクライナ軍のそれを過小評価し、一部の側近が簡単に勝利できると断言し、現実には消耗戦と化した戦争に国を突入させてしまった。失敗の一因は、権力者のもう一つの落とし穴である「相談や批判を受け入れないこと」にも促されている。プーチンの失敗は彼特有のものではないし、単に独裁者の悪癖の結果でもない。民主主義国家を含むあらゆるパワフルな国家の指導者が、権力に幻惑され、不用意な決断を下すことがある。(ウッズ)